117回生のような選手が増えると「競輪」はどうなる?
以上のように、117回生はその圧倒的な脚力と勝利を意識したレーススタイルで勝ち星を量産している。その背景には、日本の自転車競技界が来年の東京五輪でのメダル獲得を目指して推し進めてきた”一大改革”がある。
2016年、自転車日本代表は元フランス代表のブノワ・ベトゥ氏をヘッドコーチに招へい。フランスだけでなく、ロシア・中国を自転車強豪国に押し上げた”メダル請負人”として知られるブノワ氏は、日本の自転車競技を「世界で戦える」水準に引き上げるため、トレーニング方法、練習場所などに徹底的な変革をもたらした。
そのブノワ氏が重視したのが、選手個人の意識改革だ。競輪は他の選手と共同戦線を組む「ライン」を中心に戦われているが、その「ライン」が、日本の選手に甘えや隙をもたらしていると指摘した。「ライン」を組んだ選手を意識しすぎて実力を発揮できなかったり、逆に「ライン」があるから実力が多少劣る選手でも勝てるというケースがあったりするからだ。ブノワ氏はそのような考えを否定し、『集団ではなく、選手個人がそれぞれに強い闘争心や勝利への執念を持つ必要がある』と説き続けた。この考えには、かつて世界選手権で前人未到の10連覇を果たし、現在は日本自転車競技連盟トラック委員長を務める中野浩一氏も賛同した。
このような意識のもとでトレーニングを積まれた117回生は、当然個人の勝利を重視する。その強靭な脚力も、全ては自分の勝利を目指すために作り上げられたもの。優勝劣敗の競輪の世界では、当然と言えば当然である。
さらに、先程も述べた通り今年デビューを控える119回生は、117回生以上のペースでゴールデンキャップを獲得し、脚力を蓄えている。デビューしてみるまで分からない面はあるが、117回生のようなレーススタイルで勝利を積み重ね続けるだろう。
ラインの勝利よりも個人の勝利を優先し、純粋な脚力を競い続けるこの流れが加速するとどうなるか、その答えは単純明快。ラインを重視する日本の「競輪」は「ケイリン」に取って代わられ、漢字の「競輪」はただ死を待つのみ、である。
これまで漢字の「競輪」に親しんだ者の視点として、あえてこのような書き方をしたが、決してこの流れを悪だと言うつもりはない。ここだけは強く主張しておく。上で触れた”一大改革”の裏側には、世界で通用する選手を育成し、五輪などの大舞台でメダリストを数多く輩出することで、自転車競技を広く国民に浸透させようという壮大な深謀遠慮が隠されている。当然、自転車競技が国民に膾炙すれば、競輪を見に来る人々も増えるだろう。新時代の「ケイリン」に親しむ人々が増えることで、自転車競技のすそ野が広がるのだ。したがって、この流れは全く競輪界にとってマイナスとなるものではない。
「ケイリン」時代の競輪客に求められること
では、漢字の「競輪」にどっぷり浸かった競輪ファンは、どのような態度でこの「ケイリン」時代に向き合えば良いのか。それはファンの数だけ答えがあるだろうが、その内の一つには「この選手は『競輪』をやりたいのか、それとも『ケイリン』をやりたいのか」を正確に見極めること、があると筆者は考える。
2000人以上存在する競輪選手にはそれぞれタイプがあり、脚質もレーススタイルもそれぞれ異なる。競輪を深く楽しむのであれば、その性格を一人一人把握することが肝要だ。それと同じように、この選手は「競輪」タイプなのか、それとも「ケイリン」タイプなのか、を掴んでいけば良い。ただ「競輪」をやらない若手選手を腐すだけでは時代に取り残される。世界に通用する選手による極限のスピードバトルを楽しみながら、たまに見られる古き良き競輪に思いをはせる。その様な余裕を持って、新時代の競輪を楽しみたいものである。
施行者、選手に求めたいこと
とは言うものの、脚力のある選手が常に勝ち続ける「ケイリン」ばかりでは、公営競技の観点からはやはり面白みに欠ける。新規のファンだけでなく、既存のギャンブルとしての見方をする競輪ファンも取り込んでいくためには、競技的な面白さだけではなく、興行的な面白さもプラスしなければならない。
また、自慢の脚力を武器に「ケイリン」を戦おうとしている選手にとっても、まだまだS級上位では「競輪」を体現して戦う選手が多く存在する。A級では通用しても、S級では強烈なブロックにしてやられてしまうケースも少なくない。日本の「競輪」で大活躍を狙うのであれば、脚力だけでは補えない部分をレースの中で培ってほしいと切に願っている。
参考記事:https://www3.nhk.or.jp/sports/story/1147/
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