サイトアイコン 輪pedia

KEIRINグランプリ2020決勝戦結果&回顧

平塚競輪場公式Twitterより(https://twitter.com/windy_kun/status/1344191739364458496

KEIRINグランプリ2020結果

KEIRINグランプリ2020は30日、平塚競輪場で行われ、千葉87期の和田健太郎が優勝した。和田はグランプリはもちろん、特別競輪も初優勝となり、「特別競輪初優勝がグランプリ」という快挙を成し遂げた。2着には脇本雄太、3着には佐藤慎太郎が入った。払戻金は2車単が④②で20,020円、3連単が④②⑨で221,650円。

グランプリ展開

初手は③松浦⑤清水①郡司④和田⑧新田⑨佐藤⑥守澤―②脇本―⑦平原。打鐘手前で②脇本が一気のカマシ先行を取ると、③松浦は番手に飛びつく動きを見せるも3番手に収まる。中団5番手から捲った①郡司、3番手から捲った③松浦は共に不発。最終3コーナーで切り替えて捲った⑤清水⑦平原が牽制すると内が空き、そのコースを突いた④和田が直線粘る②脇本をかわして1着。3着には⑨佐藤が続いた。

グランプリ回顧

誰が勝ってもおかしくなかった一戦…競輪の神様は最後の最後で和田に味方した

激動の2020年を象徴するように、最終バックからは激しいせめぎ合いとなったKEIRINグランプリ2020。競輪の神様は気まぐれなもので、わずか200mの間に勝利を何人もの選手に手渡しかけた。しかし、最後の最後に祝福の相手として選んだのは、デビュー19年・G1初勝利までに14年を要した苦労人・和田健太郎だった。

レースは例によって非常にシンプルな流れ。スタートを控えた脇本雄太が打鐘手前から一気にカマして主導権を奪う流れとなった。別線は赤板ホーム手前から脇本の動向を執拗に警戒し、場合によっては好位飛び付きも考えていただろう。実際、前を取っていた松浦悠士は打鐘過ぎ4コーナーで番手に飛びついた。しかし、脇本のスピードはやはり圧倒的。番手の平原康多もすんなりと回り、残り1周を迎えた。

ここからは脇本のワンマンショー。5番手の郡司、3番手の松浦が捲ろうとしたものの車は一切伸びず。冬の冷たい空気も構わず、いつも通り別線を黙らせる快先行で1億円へ邁進した。この時点で、優勝は脇本か、番手の平原かという形だった。

しかし、不発の松浦から切り替えた清水の捲りの勢いが良い。前にスピードを貰っており、脇本を一気に呑み込む勢いで迫る。筆者はこの時点で「清水の優勝か」と直感した。思えば、この捲りが和田優勝をアシストする格好になったのだが。

番手を回った平原が、千載一遇のチャンスを活かすべく清水をブロック。だが、真後ろにいた選手をブロックする難しさ、脇本のスピード、そしてバンクの遠心力が2人を外へ大きく膨らませる。郡司、松浦、清水、平原と前を走っていた選手がまとめていなくなった和田のビクトリーロードがぽっかりと空いた瞬間だった。

直線は脇本も粘ったが、内で脚を溜めていた和田の強襲の前には成す術無し。デビュー19年間でG1制覇はおろかG2優勝も無かった和田が競輪界の頂点に立った。

冒頭にも記したように、まさに誰が勝ってもおかしくなかった今年のグランプリ。最終ホームで番手競りを凌いだ時点では平原が優勝の最短距離にいたし、清水の捲りも強烈で勝利は目の前だった。そして、この二人が大きくもつれたことで、脇本の逃げ切りもあり得た。それでも、最後に笑ったのは展開が二重、三重に向いた和田という結果となった。優勝にはこれしかない、というまさに理想的な形。競輪の神様を最後の最後で味方に付けた勝利だった。

今年も番狂わせ…2年連続の大波乱

オッズが示す通り、和田は優勝から最も遠い選手の一人として見られていた。実際、競輪祭決勝では郡司に離れていた上、前回の千葉記念(松戸開催)でも4日間勝ち星を挙げることが出来なかった。このメンバーではスピード面で苦しいと見られていたが、見事な勝ち切り。これで来年は、1年間真っ白なグランプリユニフォームに身を包むことが決定し、これまで以上に責任と重圧がかかる立場となった。それでも、和田がこれまで重ねてきた苦労に比べれば、乗り越えられないものではないだろう。しかも、来年は南関東に深谷知広と言う心強い仲間が加わり、郡司と共に「競輪王国」を築くこととなろう。競輪界を背負う立場となった和田の2021年に期待したい。

脇本は今年も問答無用の先行勝負。昨年同様、別線はまとめて不発にする展開で、圧巻のレースを披露した。それでも、最後の最後の最後に日本一の称号が眼前から逃げていった。一番強いレースをしたはずの選手が優勝できないのも、競輪の怖さであり難しさ。かつて神山雄一郎が3年連続でグランプリ2着に泣いたことを思い出させるレースとなったが、この悔しさを来年の大舞台にぶつけてもらいたい。

首尾よく中団をキープし、波状攻撃で脇本に迫った中国勢だったが、あと一歩前を捕まえるには至らず。それでも、清水の快速捲りは場内を大いに沸かせた。来年は脇本・新田が今度こそ五輪の舞台に立つことを考えると、2021年の競輪界は南関勢と中国勢が回していくことになりそうだ。

一方で見せ場なく終わったのが新田。勝負所で7番手に置かれ、仕掛けも一切できない悪癖をよりによってこの大舞台で露呈した。辛うじてマークの佐藤が切り替え追い込んで確定板に滑り込んだものの、内容でも結果でも脇本に惨敗。”東京五輪代表対決”を期待したファンにとっては、何とも味気ないパフォーマンスとなった。

2020年のまとめ

和田健太郎の優勝で大波乱に終わったKEIRINグランプリ2020。これで、2020年の競輪は一応の区切りを迎えたこととなる。

今年は新型コロナウイルスの影響により、3月~6月はほとんどの開催が中止、もしくは無観客開催となる苦境に見舞われた他、競輪場への入場が再開された後も、今回のグランプリを始めG1・G2の特別競輪は入場人員等の大幅な制限が加えられた。現在も、感染拡大防止のため各競輪場の入場には厳しい対策が行われており、競輪場がかつての活気を取り戻しているとは言い難い。

まずは競輪に携わる者として、このような状況下で1年間競輪開催を続けられたことに感謝をしなければならないだろう。関係者、選手はもちろん、競輪開催続行、再開に尽力した全ての方々に最大限の敬意を表し、心から御礼を申し上げる。

そして、来年以降は一刻も早く競輪場に活気が戻ることを、満員のファンの前で選手がレースを披露できるようになることを願って止まない。インターネットを始め、今や世界中のどこからでも競輪が見られる時代となり、昨今の状況がその流れを加速させているが、やはり競輪の魅力、面白さ、楽しさ、興奮は競輪場に行かなければ100%味わうことは出来ない。紙の車券を買い、選手に声援を送ってこその競輪である。

今なお予断の許さない状況が続いているが、一競輪を盛り上げる者として、来年も皆様に競輪に魅力、面白さをお届けできるよう、日々精進していくつもりである。

そして、今年7月の「輪pedia」開設以降、多くの読者の方々にご愛読いただいたことについても、深く御礼申し上げる。今後も拙筆ながら、読者の方々に役に立つ情報を提供し続けるため、来年以降も変わらぬご愛顧のほどをお願い申し上げたい。

2021年のグレードレースは1月4日(月)から立川競輪場で行われるG3「鳳凰賞典レース」で幕を開ける。来年は日常が皆様の下に戻ってくることを願って…。それでは、良いお年を。

競輪を買うなら『みんなの競輪』

キャッシュバックでお得に競輪が楽しめる!「みんなの競輪」公式サイトはこちら!

PIST6公式投票サイトのご登録はこちら!

公式LINEでお得な競輪情報を配信中!!

 

オートレースくじ「当たるんです」はこちら!

【いつでも輪pediaの記事更新通知が受け取れる!ポップアップ通知の利用方法】

➀App Storeの検索に「Push7」と入力し、アプリをダウンロード
②設定より「Safari」を選択し、「ポップアップブロック」を解除
③「輪pedia」アクセス時に現れる「輪pediaからの通知を受け取る」で「購読する」をタップ
 

輪pediaメールマガジン登録はこちら!

輪pediaメールマガジン登録/解除はこちら 「輪pediaメールマガジン」は競輪メディアサイト「輪pedia」の無料メールマガジンです。 「輪pedia」で更新された注目の...

オススメ記事

新時代の旗手・117回生は「競輪」の破壊者か?~「ケイリン」の申し子たちと「競輪」の関係性を考える各地で活躍を示す競輪117回生は、競輪新時代の旗手となるのか、それともこれまでの「競輪」を打ち破り「ケイリン」をけん引する存在となるのか?117回生の成績から考察します。...
競輪の「代謝制度」って何?選手が引退させられる制度についてまとめておいた 競輪選手は成績が悪いと引退させられる プロ野球の「戦力外通告」のように、競輪の世界にも成績の振るわない選手に引退を促す「...
「競輪を当てたい人」必見!あなたの的中率が上がる「3つのポイント」を伝授!競輪の的中率を上げたい競輪ファン必見!あなたが知らなかった「3つのポイント」を押さえるだけで、的中率は飛躍的に上がります!...
全国の競輪場紹介編~前編・北日本、関東、南関東、中部~目指せ43場踏破!全国43場の競輪場を、2回に分けて紹介。前編は、函館から四日市まで、北日本~中部の競輪場の特徴を解説します。...
全国の競輪場紹介編~後編・近畿、中国、四国、九州~目指せ全国43場踏破!全国43場の競輪場を、2回に分けて紹介。後編は、福井から熊本までの、近畿~九州までの競輪場の特徴を解説します。...
【職場結婚】競輪選手同士で結婚した選手をまとめてみた 競輪選手同士の結婚 今日、熊本113期の曽我圭佑選手と栃木108期の福田礼佳選手が結婚することが発表されました(福田選手...
全員落車、全員失格…競輪で本当にあった珍事件について調べてみた 競輪に落車や事故はつきもの 最高時速70キロで走りながら、身体と身体をぶつけ合う競技―それが競輪。一瞬の判断ミスが、落車...
最高齢競輪選手は〇〇歳!?歴史に残るベテラン選手を一挙紹介! 競輪選手は選手寿命が長い 一般的に、プロ野球やJリーグなどのプロスポーツ選手は、30代までが選手生命のピーク。40代を迎...

 

The following two tabs change content below.

競輪歴15年(みんなの競輪チーム 所属)

輪pedia 編集者兼ライターの「競輪歴15年」です。 長年培った知識を活かし、競輪に関する有益な情報を提供していきます。
モバイルバージョンを終了