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【競輪コラム】7車立てと9車立ての是非を問う

【競輪コラム】7車立てと9車立ての是非を問う

7車立てがすっかり定着

先日、全国競輪施行者協議会は令和5年度の事業計画を発表。令和4年度同様、F1・F2戦は全て7車立てでの競走を継続するとした。

昨今、ネット投票を中心に競輪の売上は好調。令和4年度(2022年4月1日~2023年3月31日)の総車券売上高は1兆907億7929万200円となり、20年ぶりに1兆円の大台を突破している。

その背景には、ミッドナイト競輪を中心とした7車立ての競走の増加もあるだろう。車立て数が9車から減り、本命がはっきりしたレースが増えたことで、より多くのファンが車券を買いやすくなった。

それでも、以前の競輪を知るファンからは「7車立てはレースが単調で、配当も安い」という意見も少なくない。すっかり7車立て主流の競輪が定着したとはいえ、そういったファンの声を無視するのは得策ではないだろう。

今回は改めて7車立てと9車立ての違いを整理することで、それぞれの是非を浮き彫りにし、今後の競輪開催の行くべき道を模索する。

7車立てはタテ勝負が基本

自力選手が圧倒的に有利な7車立て

ご存じの通り、7車立てのレースはタテ脚勝負が基本だ。そもそも追い抜くべき選手数が少ないので、本命選手は仮に後方に置かれても6番手がある。無理に中団で粘って脚を消耗するよりは、すんなり引いてからの巻き返しに期待した方が良い。

どうやっても不公平になるライン構成

しかし7車立ての問題の一つに、ライン構成がどうやっても不公平になることが挙げられる。

9車立てなら3・3・3の3分戦に分かれ、先頭・番手・3番手がそれぞれの仕事をすることができる。

だが7車立ての3分戦は3・2・2となることがほとんどで、こうなると3車ラインが数的に圧倒的に有利だ。2車ラインが仮に逃げたとして、番手の選手が仕事をしようとすると、内がガラ空きになってしまう。そこを攻め込まれると、もはやラインとしてはどうにも太刀打ちできない。それを防ぐためには、2車ラインがもう一つの2車ラインをどうにかして味方に引き入れなければならない。

2・2・2・1の細切れ戦になると、さらにタテ脚勝負の傾向は加速する。また、4・3の2分戦になると、今度はレース自体がかなり単調になる。ラインの先頭選手はもう一方のラインだけを気にすればいいので、4車ラインが有利になってしまう(先行力があるなら突っ張れば良いし、引いても4番手がある)。

A級戦では強い選手の番手が焦点

それに加え、現在全て7車立てで行われているA級戦(特にチャレンジ)では、結局のところ強い自力選手の番手が付いていけるかどうかが焦点だ。付いていけば本線ワンツーで100円台の配当、離れれば別線への流し、という具合で決着する。つまり、車券が実質2択になっている。

その上、得点上位の選手が1番車に入るミッドナイトでは、先行力のある若手選手が前を取って突っ張ってしまえば、残り2周の時点で勝負が決してしまう。果たして、これが競輪の魅力と言えるのかどうか。

競輪の競技性を学ぶならやはり9車立て

昨年の寛仁親王牌決勝は大激戦となった

7車立てのメリットとデメリットを学んだところで、9車立ての優位性に立ち返る。

もちろん、7車→9車へと車券を考えるべき選手が2人増えることは大きい。一気に展開が複雑化し、車券の難易度も飛躍的に上がる。

それでも、競輪の競技性を学ぶのであればやはり9車立てをモデルケースとするのが最も良いだろう。初手前の選手が引き、後ろの選手が前に出る。ラインの先頭が逃げ、捲り、番手が仕事をし、3番手が内を締める。一通りの流れを体感するには、9人でのレースが最も適している。

考えるべき内容は増えるが、競輪を深く、長く楽しむのであれば選手の動きや展開をよく考えて推理する方が良いのは自明の理だ。競輪を単なる数当てゲームにしないように、ファンにその仕組みを理解させるのもまた重要ではないか。そして、この先9車立てのレースを徐々に増やしていくのであれば、7車立てにすっかり慣れたファンにのその考え方を改めて教える必要があるだろう。

競輪は本当に転換期にあるのか

ここまでの内容を読んでわかる通り、7車立ては考えやすく当てやすいが、本来の競輪の動きを知るには足りない部分がある。9車立ては考えることが増えて当てにくくなるが、競輪をより深く理解するには最も適している。

もちろん、競輪が転換期にあり、今後は7車立てで勝つ選手が大方決まっているレースが多くなるのが主流となる可能性もある。分かりやすく、当てやすいレースが最優先という流れは今後も加速するかもしれない。

それでも、競輪という競技を正確に理解し、十年後二十年後もその型を教えていくファンを形成するには、簡単なレースばかりを開催していては考える力を失わせてしまう。「7車」と「9車」の間にはそれだけ大きな差があり、現在ファンは分断されているといっても過言ではない。

現状の売上を優先して、易しいレースを今後も組み続けるのか?ファンに考える楽しみを与えるために、徐々に9車立てのレースも復活させていくのか?9車立てレースを復活させる際には、7車に慣れたファンにどのように説明していくのか?今後の競輪界の流れに注目したい。

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競輪歴15年(みんなの競輪チーム 所属)

輪pedia 編集者兼ライターの「競輪歴15年」です。 長年培った知識を活かし、競輪に関する有益な情報を提供していきます。
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