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「カンナ削り」とは
競輪には「カンナ削り」と呼ばれる用語がある。もちろん公式なものではないが、最近たまに聞かれる用語だ。特に、強い先行選手が1人いるA級戦~A級チャレンジで用いられることが多い。今回は、そんな「カンナ削り」を簡単に説明する。
良い戦法とは見られないこともある
「カンナ削り」は、強い先行選手の番手を狙う、長いラインを分断する、もしくは初手で良い位置を取りたい選手が用いる戦法。今年3月12日の平塚10Rを例にとって見てみよう。
残り2周、3飯野が6望月を抑えに行くが、6望月が突っ張るシーン。南関東ラインは6望月―2松井―4佐藤で並んでいる。
6望月に突っ張られた3飯野はここで内に移動し、内圏線と外帯線の中に入る。この時点で、3飯野は2松井の前に入っている。
ここで2松井が3飯野を内側から追い抜くと、2松井は内側追い抜きで失格になってしまうため、
2松井は3飯野を外から追い抜くしかなくなってしまう。
このように、外から抑えられた選手(ここでは2松井)は内側追い抜きによる失格を避けるために、抑えた選手(ここでは3飯野)を外に回って追い抜くか、番手を明け渡して位置を下げるかを選択しなければならない。抑えた選手にとっては、番手がすんなり手に入るかもしれないし、仮に外から追い上げられたとしてもイン競りでラインの分断を狙うことができる。
そして、抑えられた選手が引く際は抑えた選手と一緒に位置を下げていくことになる。この様子が、カンナ(鉋)=抑えた選手が木材=抑えられた選手を削るように見えることから、「カンナ削り」の名前が付けられた(と思われる)。
もちろん抑えた選手の走行に違反性はないが、ともすれば抑えられた選手を意図的に失格に導こうとしている、と見られてもおかしくない。流れの上で偶然そうなってしまったならまだしも、必要性がないのに利用した際は、選手間で遺恨を残しそうな戦法と言える。
対処法は?
抑えられた選手がカンナ削りに遭わないようにするためには、抑えた選手の車輪の内側に何が何でも自分の車体を差し込んでおくか、内側追い抜きの免責事由に該当するように速やかに前走選手を追走するしかない。しかし、レースの中で意識して容易に行えるものではないため、安全を期すなら外側から追い上げ、抑えた選手を極めに行くしかないだろう。
参考:内側追い抜きの免責事由(競輪競技規則第13条より抜粋)
(1) 急激に速度を低下した前走する選手を避けた走行で、かつその走行以外に方法がなかった場合
(2) 落車した選手を避けた走行で、かつその走行以外に方法がなかった場合
(3) 他の選手の妨害行為若しくは危険行為又は相当のあおりを受けたことにより、衝突又は接触を避けた走行で、かつその走行以外に方法がなかった場合
(4) 外帯線の内側を前走している選手を内側から追い抜いた場合であって、前(1)、(2)及び(3)以外の事由により、一時的に違反状態となったが、他の選手の走行に支障を生じさせることなく、急激に速度を低下させ元の状態に復した場合
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