ガールズケイリンの今後を考える
2012年の開始以降、年々選手数や開催レース数も増え、すっかり競輪ファンの間にも定着したガールズケイリン。今年は開始から10年の節目となる年だが、そろそろ転換点に来ていると言っても良いのではないか。今回は、今後の競輪界を左右する重要コンテンツ・ガールズケイリンの現状を考察し、今後求められることを提言していきたい。
ガールズケイリンの現状
2021年6月現在、ガールズケイリンの選手は合計で167名。全員がL級1班に属しており、全ての選手が同じレースで戦う可能性を持っている(クラス分けが存在しない)。
ガールズケイリンは基本的に、3日間開催であれば7車立てレースが1日2走行われる。前半2日間は予選を戦い、2日間の予選の成績上位者が最終日の決勝戦に進むシステムとなっている。時折3レース制のトーナメントが4日間行われることもあるが、基本は男子の開催と合同で実施される。
ガールズケイリンは選手数がまだ少なく、単独での開催をほとんど実施できない。過去には2015年の小倉競輪場で単独開催を行った実績がある他、一昨年までは年1回、6レース制でのガールズ開催が実施されていた。今年度は今のところ実施予定はないが、下期に実施される可能性がある。
また、2021年現在ガールズケイリンは全国の競輪場43場中40場で開催されており、これまでに開催実績が無いのは小田原、小松島、改修工事中の千葉の3場となっている。
競輪最高会議によるガールズケイリンの位置づけ
ここで、競輪施行者らによる、ガールズケイリンの最新の位置づけについて確認しておこう。
今年3月、「第16回 産業構造審議会 製造産業分科会 車両協議小委員会」において、競輪最高会議より提示された「競輪中期基本方針案」によるガールズケイリンの位置づけは以下の通り。
『ガールズケイリンの位置づけについては、新規顧客向けの商品とし、モーニング、ナイター、ミッドナイト競輪などインターネットによる売上が好調である開催を中心に実施する。…2024年度までに達成予定のガールズ選手200名体制以降のガールズケイリンの位置づけについては、全体枠組みの検討の中で、ステップⅡ(2023年度~2024年度)を目標として結論を出す方向で進める。』
※『ステップⅡ』とは、3~4年で取り組むべき施策のこと。
これを見る限り、ガールズケイリンは新規ファン層のためのコンテンツであり、そのようなファンがまず触れるであろうインターネット投票を中心に裾野を広げていくべきだ、という考えが見て取れる。それに加え、ガールズケイリンはまだ発展途上であり、中期的な視点で発展を模索していくべきとも捉えられているのが分かる。
ガールズケイリンの売上
次は、ガールズケイリンの売上について。モデルケースとして、12月28日に行われるガールズグランプリの、2012年以降の売上を挙げておく。
回次 | 売上額 |
第1回(2012年) | 339,799,900円 |
第2回(2013年) | 474,251,100円 |
第3回(2014年) | 463,911,800円 |
第4回(2015年) | 469,584,000円 |
第5回(2016年) | 465,773,700円 |
第6回(2017年) | 460,967,200円 |
第7回(2018年) | 463,238,800円 |
第8回(2019年) | 557,906,700円 |
第9回(2020年) | 577,149,300円 |
第1回から第2回にかけては1億3,000万円以上売上が伸びたが、以降はほぼ横ばい。第7回から第8回にまた売上が1億円弱伸びている。
ガールズケイリンの課題
ここからは、ガールズケイリンの現状の課題についてまとめる。
①選手間の実力差が大きく、車券的妙味が薄い
現在、全選手がL級1班に所属しているため、グランプリ優勝レベルと、一般戦ですら満足に入着できない選手が同時に走るレースも少なくない。そうなれば、走る前から結果が見えてくるため、展開を推理する面白さが薄れ、車券の配当も3桁が非常に多くなる。
②実施レース数が少ない、単独開催が行えない
ガールズケイリン発足10年目とはいえ、選手数は男子の10分の1以下と、まだ圧倒的に不足している。上にも触れたとおり、ガールズ単独での開催はほとんど行えないのが現状であり、ガールズケイリンが男子選手による開催の「付属品」化している。その上、ケガや結婚・出産等による欠場が多くなると、さらに選手数が不足していく。
③実力不足のため、非常に短期間で引退する選手がいる
毎期競輪選手養成所には20名前後の候補生が入所し、ほぼ全ての選手が選手としてデビューする。しかし中には実力不足で、毎回のように車群から離されてゴールする選手もいる。現状、選手数確保のために代謝制度は緩めに設定されているが、それでもデビュー後1年半でに引退を余儀なくされた選手も存在する。
課題の解決法を探る
①2級制(2班制)の創設など
今後、選手数が増加するにしたがって急務となるのが2級制(2班制)による選手間実力の拮抗だ。男子同様競走得点によって昇級・降級を設定し、同一級同士のみでのレースを実施する。現状では49~50点程度がボーダーラインだろうか。そうすれば、現在のようにレースを行う前から勝者が決まっている状況は圧倒的に少なくなり、予想の面白さや配当の妙味も上がっていく。
また、課題③に挙げた、実力が劣る選手にとっても、力差が圧縮されるため展開一つで上位に入着できる可能性が上がり、早期引退の防止に繋がる。これに関連して、現在行われている「競輪ルーキーシリーズ」の他にも、「デビュー〇年以内の選手」によるレースを開催しても面白い。一般的にガールズケイリンは新人選手が苦戦する傾向にあるため、レースの経験を積んで、早くから優勝争いに絡めるような機会を増やすことも、選手やレース全体のレベルアップに繋がる。
②予想情報の見直し・追加
①に関連して、予想が難化することによるファンの離脱を防ぐためには、提供する予想情報の多様化を行う必要がある。例えば、ガールズケイリンは車番や初手の並びが男子以上に予想の重要なファクターとなる。そこで、選手ごとに車番別の成績や、初手で何番手を取るかのデータを提供すれば、展開予想がしやすくなり、ファンの離脱を防ぐことができる。
③ガールズ単独開催の増加
こちらも選手数が増加してからの話となるが、これまで年1回の開催に留まってきたガールズ6レース制開催を、最低でも年3~4回に増加させる。また、将来的には2015年小倉のように、ガールズケイリンのみでの開催も常態化させる。売上の都合上、ガールズ単独開催はミッドナイト競輪が中心となりそうだが、それでも話題を呼ぶには十分な内容となるだろう。
④新人選手の代謝猶予
①で触れた通り、ガールズケイリンは男子に比べて新人選手がかなり苦戦する傾向にある。場合によっては、最初の半年~1年は全く着に絡めず、ようやくレースを覚えてきたところで代謝制度の対象となって引退となるケースも考えられる。そこで、新人選手に限っては最初の半年は代謝制度の考慮から外し、デビュー2期目から制度の対象とするのはどうだろうか。早期引退の防止・選手数の確保の他、実力も付いてくるためこの施策も選手・レースのレベルアップに繋がるだろう。
なお、現状ミッドナイト競輪で行われる「競走得点の高い選手を内枠から割り振る」という施策については、ただでさえ実力上位の選手が内枠に入るためさらに有利になる、という否定的な意見もある。しかし、前ページで触れたガールズケイリンの位置づけと照らし合わせると、初心者・初級者にとっては「一番強い選手が1番に入っているから、この選手から買えばよい」という分かりやすさに繋がるため、必ずしもこの施策をすぐに見直す必要はないと考える。
まとめ
今回は、ガールズケイリンに今後求められることについて考察した。冒頭でも触れたとおり、ガールズケイリンの発展は今後の競輪界全体の隆盛に無くてはならないものであり、そのコンテンツの充実は競輪界全体で考えなければならない課題である。皆さんは今後のガールズケイリンに何を求められるだろうか。
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