2026年11月18日(水)~23日(月・祝)、小倉競輪場で「第68回朝日新聞社杯競輪祭(G1)」が開催されます。年末のKEIRINグランプリ出場権が懸かる最後のG1は、毎年のように劇的なレースが生まれる舞台。絶対的な本命選手の敗退、思わぬ失格、伏兵によるG1初優勝など、競輪祭の歴史には数々の大波乱が刻まれてきました。

今回は2025年から2017年まで、特に印象的だった5つのレースを振り返ります。2026年大会でも、最後の最後まで何が起こるか分かりません。

競輪祭で起きた歴史的な大波乱5選

年・レース波乱の内容3連単配当
2025年 決勝12R阿部拓真がG1初優勝350,990円
2024年 準決勝12R古性優作が失格、郡司・深谷が落車519,300円
2023年 準決勝10R6番車・簗田一輝が大金星848,700円
2022年 初日8R圧倒的本命の脇本雄太が3着583,010円
2017年 初日9R当時のG1最高配当を更新1,174,990円

いずれも9車立ての男子競走。3連単の人気薄が上位を独占したレースだけでなく、人気選手の敗退や失格によって予想外の結果となったケースもあります。

【2025年決勝】504番人気!阿部拓真がG1初優勝の大番狂わせ

2025年11月24日・最終日12R

  • 1着:⑥阿部拓真
  • 2着:②荒井崇博
  • 3着:③松井宏佑
  • 3連単⑥-②-③:350,990円(504番人気)

2025年の競輪祭決勝は、G1史に残る大波乱となりました。

主役となったのは宮城の阿部拓真。G1で初めて決勝に進出した伏兵が、古性優作や吉田拓矢らの強豪を相手に頂点へ駆け上がりました。

レースは吉田拓矢が打鐘で先行するも、松本貴治が一気に仕掛けて主導権を奪取。最終バックでは吉田が捲りに出ますが、松本の番手を回る荒井崇博が番手捲りで応戦します。激しい攻防のなか、吉田を追走していた阿部は荒井へ切り替えると、直線で鋭く伸びて差し切り。2着に荒井、3着には後方から追い込んだ松井宏佑が入りました。

驚くべきはその人気順。3連単504通りのうち、最も人気のない504番人気での決着だったのです。

優勝した阿部自身も結果に驚きを隠せない様子でした。選考用賞金ランキング133位から、最後のG1を制してKEIRINグランプリ2025への出場権を獲得。競輪祭ならではの大逆転劇となりました。

【2024年準決勝】古性優作まさかの失格!51万車券の衝撃

2024年11月23日・5日目12R

  • 1着:⑦寺崎浩平
  • 2着:⑨村上博幸
  • 3着:②菅田壱道
  • 3連単⑦-⑨-②:519,300円(431番人気)

2024年の準決勝では、G1王者・古性優作を中心としたレースが思わぬ展開を迎えました。

近畿勢は寺崎浩平-古性優作-村上博幸という強力な布陣。対する南関東勢には郡司浩平と深谷知広がそろい、激戦が予想されていました。

レースは中野慎詞が積極的に仕掛けて主導権を握り、その後ろに近畿勢が収まる展開。最終ホームでは郡司が巻き返しを図りますが、古性の牽制によって郡司と深谷が落車するアクシデントが発生します。

寺崎は番手から捲って1着。古性は2着でゴールしましたが、斜行による失格判定が下され、決勝進出を逃しました。これにより村上博幸が2着、菅田壱道が3着に繰り上がり、3連単は51万9,300円の高配当に。

古性の失格に加え、郡司・深谷も決勝進出を逃す結果となり、グランプリ出場権争いにも大きな影響を与えた準決勝でした。

【2023年準決勝】6番車・簗田一輝がジャイアントキリング!

2023年11月25日・5日目10R

  • 1着:⑥簗田一輝
  • 2着:⑨松井宏佑
  • 3着:③眞杉匠
  • 3連単⑥-⑨-③:848,700円(445番人気)

2023年の準決勝10Rには、郡司浩平、古性優作、眞杉匠らG1級の実力者が集結しました。

そのなかで大金星を挙げたのが、6番車の簗田一輝です。

簗田は松井宏佑-郡司浩平の南関東ライン3番手。レースは松井が積極的に先行し、番手の郡司が別線の仕掛けを牽制します。

最終バックからは眞杉匠が捲り上げますが、郡司がこれをブロック。すると最後の直線で、南関東3番手の簗田が空いた内のコースへ飛び込み、一気に突き抜けました。

2着には逃げ粘った松井、3着に眞杉が入り、3連単は84万8,700円の超高配当。一方、番手で懸命に仕事をした郡司は4着となり、決勝進出を逃しました。この敗退で郡司のグランプリ出場の可能性は消滅し、翌年のS級S班からも陥落する結果となりました。

簗田にとってはG1初決勝を決める会心の勝利。ラインの3番手からでも、展開ひとつで主役になれることを証明した一戦でした。

【2022年初日】勝率89%・脇本雄太が敗れる!

2022年11月22日・初日8R

  • 1着:⑨杉森輝大
  • 2着:⑥伊藤颯馬
  • 3着:⑦脇本雄太
  • 3連単⑨-⑥-⑦:583,010円(259番人気)

2022年の競輪界を席巻していたのが脇本雄太です。

日本選手権とオールスターのG1を制覇し、直近4ヶ月で19戦17勝・勝率89%という圧倒的な数字を記録。世界水準のスピードを誇る脇本は、初日8Rでも断然の中心視をされていました。

しかし、レースは意外な展開を迎えます。脇本は後方7番手から仕掛けますが、先頭の長島大介がペースを上げ、伊藤颯馬も脇本の動きを牽制。思うように加速できず、最終周回では中団で立て直しを余儀なくされます。

再び脇本が仕掛けたところで伊藤が捲り、さらに長島の番手から杉森輝大が発進。杉森が押し切り、伊藤が2着、脇本は3着に敗れました。

脇本が3着に入っていながら、3連単58万3,010円という衝撃の決着。本命選手を1着に固定する予想がいかに危険かを示すレースでした。

【2017年初日】ついに出た!G1史上初の117万車券

2017年11月23日・初日9R

  • 1着:⑥小埜正義
  • 2着:⑧林雄一
  • 3着:②三谷竜生
  • 3連単⑥-⑧-②:1,174,990円(462番人気)

2017年の競輪祭では、当時のG1最高配当を塗り替える歴史的な万車券が誕生しました。

主役となったのは千葉の小埜正義です。

レースは三谷竜生と菅田壱道による激しい主導権争いとなり、三谷が先行態勢を築きます。しかし、その後ろでは番手争いが発生し、隊列が乱れる展開に。

この混戦を見逃さなかったのが小埜でした。内へ追い上げて好位置を確保すると、最後の直線で鋭く伸びて1着。小埜の動きに続いた林雄一が2着、先行した三谷が3着に粘りました。

3連単は117万4,990円。当時、G1で100万円を超える3連単配当は初めてで、歴史的な記録となりました。現在も競輪祭を代表する大波乱として語り継がれる、まさに伝説の一戦です。

なぜ競輪祭では大波乱が起こるのか?

これら5つのレースに共通するのは、競輪の実力だけでは結果が決まらないということです。

小倉競輪場は屋内型の高速バンクですが、9車立てG1では各地区の強力なラインが激しくぶつかり合います。先行争いが長引けば人気の自力選手が脚を使い、番手同士の牽制が発生すれば3番手や後方の選手にもチャンスが生まれます。

さらに競輪祭は、年末のKEIRINグランプリ出場を懸けた最後のG1。賞金ランキング上位を狙う選手も、優勝で一発逆転を目指す選手も、勝負どころでは普段以上に積極的な走りを見せることがあります。

ただし、波乱が多く記憶に残るからといって、毎年必ず高額配当が出るわけではありません。人気通りに決まるレースも数多くあり、重要なのは各レースの展開を見極めることです。

競輪祭2026でも新たな伝説が生まれるか?

2025年の阿部拓真による最低人気でのG1初優勝、2024年の古性優作失格、2023年の簗田一輝の大金星。競輪祭は、たった一つのレースがその年の競輪界の勢力図を変えてしまう大会です。

2026年大会でも、順当にトップ選手が勝ち上がるのか、それとも新たな伏兵がグランプリへの切符をつかむのか。

競輪祭は最後の直線まで、そして審議結果が確定するまで何が起こるか分からない。 今年も小倉の高速バンクで繰り広げられる、年末のラストバトルに注目です。