第62回競輪祭決勝戦予想
5日間にわたって激闘を繰り広げた「第62回朝日新聞社杯競輪祭」は、いよいよクライマックスの決勝戦を迎えた。有力選手が相次いで敗退する波乱の展開を勝ち上がった9名によるラストバトル。グランプリ出場争いも大混戦となっており、見ごたえ十分の最終日となった。早速、決勝戦の予想に移る。
印 | 番 | 選手名 | 登録地 | 競走得点 | 年齢 | 期別 | 今回成績 |
▲ | ① | 新田祐大 | 福島 | 121.62 | 34 | 90 | ①①❸① |
② | 古性優作 | 大阪 | 112.72 | 29 | 100 | ④②④③ | |
× | ③ | 平原康多 | 埼玉 | 114.59 | 38 | 87 | ①④④② |
④ | 松井宏佑 | 神奈川 | 112.68 | 28 | 113 | ②①❽③ | |
△ | ⑤ | 諸橋愛 | 新潟 | 115.53 | 43 | 79 | ⑥①②③ |
⑥ | 鈴木庸之 | 新潟 | 109.11 | 35 | 92 | ⑤④②① | |
○ | ⑦ | 和田健太郎 | 千葉 | 115.45 | 39 | 87 | ②①❹② |
⑧ | 稲川翔 | 大阪 | 110.90 | 35 | 90 | ③①❼② | |
◎ | ⑨ | 郡司浩平 | 神奈川 | 116.61 | 30 | 99 | ①②❶① |
【機は熟した!郡司が悲願のG1獲りへ邁進】
初日に脇本雄太が落車で戦線離脱。二次予選では清水裕友が姿を消し、準決勝では賞金ランク不動の首位・松浦悠士が失格を喫し連覇の夢は露と消えた。有力選手が日を追うごとに姿を消していった今回の競輪祭は、混乱を極めた今年の競輪界を反映するかのような開催となった。
そんな中で、明らかに今開催は南関東勢に風が吹いている。決勝戦に3車、それもダイヤモンドレースで好連携を決めた④松井宏佑―⑨郡司浩平―⑦和田健太郎がそのまま乗ってきたのだ。
思えば、南関東からは長らくG1のタイトルホルダーが出ていない。前回の南関東勢のG1優勝は、なんと10年前の2010年、この競輪祭で海老根恵太(千葉)が優勝した時にまで遡る。確かに南関東勢と言えば(これは勝手なイメージだが)、F1やG3クラスでは楽に優勝できる能力を持った選手が揃いながら、G1の勝ち上がり戦となると途端に脆さを露呈し、結局決勝戦に駒を進められない印象が強かった。
しかし、今年は郡司浩平が覚醒し、和田健太郎もG1決勝の常連となって競輪界を引っ張ってきた。もはや、近年の「そこそこ軍団」としての南関東勢の姿はなく、確かに競輪界の中心となって存在感を示してきた。
そして何より、来年からは深谷知広というスター選手を静岡に迎え入れ、仲間として戦うことが確定している。そのネームバリューに負けないためにも、ここで大きな勲章を一つ手に入れ、胸を張って競輪界をリードしていきたいところだ。
⑨郡司自身も、「能力はすでにG1優勝級」と言われて久しかったが、今年前半戦は準決勝戦での失敗が目立ち、何度も涙を呑んできた。ここはまさに千載一遇のチャンス。再度④松井の頑張りに応えて、ダイヤモンドレースの再現を果たしてタイトルホルダーの仲間入りを果たそう。南関東ワンツーの⑨⑦が本線。
【新田は単騎戦をどう捌くか】
①新田祐大も、3着に敗れたダイヤモンドレース以外は圧巻の走りで決勝に駒を進めてきた。
今年は東京五輪延期の影響もあり、日本での競輪出走はわずか7開催となったが、それでもグランプリ前最後の開催となるここで、出場争いに持ち込むところまでやってきた。当然、賞金でのグランプリ出場よりも、気持ちよく勝って駒を進めたい所だろう。
しかし、ラインの援護はなく単騎戦となった以上、厳しい戦いとなることは否めない。ましてや、南関東勢の2段駆けがほぼ確実な状況で、その展開を後方から粉砕できるかと問われると、ダイヤモンドレースを見る限り難しいものがある。少しでも自分で展開を切り開きたいが…。
【関東勢は鈴木が覚悟の前回りで見せ場作る】
関東勢は⑥鈴木庸之が志願の前回りで結束力を見せる。準決勝はまさにラインの力でもぎ取った1着で、初のG1決勝進出を果たした。一度はこの競輪祭の舞台で輝きを放つも、重度のヘルニアに悩まされ、一時は選手生命すら危ぶまれる事態を経験してきた⑥鈴木。逆境を乗り越えてきた男の覚悟は堅い。南関東勢を先に抑える展開なら、③平原康多がその気持ちに応えて抜け出しを図る。③頭が逆転候補。
【曲者同士がタッグを組む大阪勢が風穴を開けるか】
②古性優作―⑧稲川翔の大阪勢は、準決勝12Rで新田祐大にちぎられはしたものの、先捲りの展開でしぶとく勝ち上がってきた。②古性も、ここで上位着を取ればグランプリ出場が見えるだけに、何としても強力メンバ―相手に食らい付きたい。関東勢と南関東勢が極度に削り合う展開ならば、後方で虎視眈々と爪を研ぐ浪速の曲者に展開が向いても良い。
【結論】
展開は④松井が早めの仕掛けで主導権を奪うことが濃厚。⑥鈴木も前々抵抗するが、ダッシュ力の差で南関東勢が前に出るだろう。近畿勢の動きも気になるところだが、飛び付きまでは厳しいと見る。すんなり主導権を奪えば、⑨郡司が番手から抜け出して勝機。⑦和田が食い下がるか、①新田や③平原が一角を崩すかの争いになりそう。
本線は⑨郡司の抜け出しで⑨⑦、①新田が迫る⑨①。①新田がゴール前で捕らえる①⑨も一応推奨する。
逆転は⑥鈴木の主導権から③平原の抜け出しで③⑤、③⑨、③①。
穴は②古性の絡みで②流し。こちらは相当配当もつきそうだ。
グランプリ出場争い
続いて、気になるグランプリ出場争いについてまとめる。現時点での賞金ランキングはこちら。
順位 | 選手名 | 獲得賞金 | 状況 |
1 | 松浦悠士 | 147,166,500円 | 確定 |
2 | 脇本雄太 | 100,041,800円 | 確定 |
3 | 清水裕友 | 75,279,000円 | 確定 |
4 | 平原康多 | 64,695,900円 | 確定 |
5 | 郡司浩平 | 55,758,000円 | 確定 |
6 | 佐藤慎太郎 | 55,458,000円 | 確定 |
7 | 和田健太郎 | 51,859,800円 | 完走確定 |
8 | 守澤太志 | 48,182,900円 | 結果待ち |
9 | 山田英明 | 47,102,000円 | 結果待ち |
10 | 新田祐大 | 43,674,000円 | 完走で可能性 |
11 | 古性優作 | 40,785,700円 | 4着以上で可能性 |
12 | 中本匠栄 | 39,742,200円 | 消滅 |
13 | 浅井康太 | 39,443,600円 | 消滅 |
14 | 諸橋愛 | 37,267,000円 | 3着以上で可能性 |
17 | 稲川翔 | 30,997,400円 | ほぼ優勝条件 |
6位の佐藤慎太郎まではグランプリ出場確定、7位の和田健太郎は無事故完走で出場確定となった。また、稲川翔、鈴木庸之、松井宏佑はそれぞれ優勝のみが条件となる。
さらに、最終日は守澤太志が特別優秀、山田英明が特選に出走するため、この8位と9位は入れ替わらない。したがって、ボーダーは9位の山田ということになる。
①平原、郡司、和田が優勝の場合
新田は完走すれば山田をかわして、5着以上なら守澤までかわしてグランプリ出場の可能性。古性は4着以上、諸橋は3着以上で可能性があるが、新田よりも先着することが条件となる。また、新田、古性、諸橋が上位を独占すると、守澤までかわして2人がグランプリ出場の可能性もある。
②新田が優勝の場合
新田が優勝した時点で山田は圏外へ弾き出される。諸橋は3着以上、古性は4着以上で守澤をかわして出場の可能性。
③古性、諸橋が優勝の場合
先程と同じように山田が圏外へ弾き出される。新田は大敗を避け、なおかつ古性と諸橋の内優勝しなかった方が上位に入らなければ出場の可能性。逆に、優勝しなかった方は新田の大敗を待つことになる。
④稲川、鈴木、松井が優勝の場合
③とほぼ条件は同じだが、古性、諸橋は新田が大敗し、かつ互いよりも先着して上位入着を果たさなければならないため、条件は厳しくなる。
まとめ
泣いても笑っても、グランプリ出場へ向けてはここがファイナル。絶対に見逃せない戦いとなった決勝戦をどうぞお楽しみに。発走時刻は20:40。
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