競輪場ごとの特徴をつかむうえで、まず注目したいのが「みなし直線」と「カント」、そしてバンク周長の組み合わせです。競輪は同じ7車立て、同じ距離のレースでも、走るバンクが変わるだけでレースの流れが大きく変わります。先行選手が押し切りやすい場もあれば、最後の直線で捲りや追い込みが届きやすい場もあり、バンク特性を理解しているかどうかでレースの見え方はかなり変わってきます。

今回は、競輪場を「先行有利・不利」と「捲り・追い込み有利・不利」の2軸で4象限に整理し、さらに「みなし直線×カント」の9パターンに分けて全41場(改修中で333バンクに変更予定の京都向日町を除く)の傾向をまとめています。

先行不利×捲り・追い込み有利は21場

まず4象限分布図を見ると、最も多いのは「先行不利×捲り・追い込み有利」のグループで、21場がここに入っています。青森、いわき平、弥彦、立川、川崎、名古屋、岐阜、豊橋、松阪、四日市、和歌山、広島、松山、小倉、武雄、別府、熊本、前橋、伊東温泉、宇都宮、大宮が該当し、全体としては後方からでも届きやすいバンクが多数派であることが分かります。

特に、みなし直線が長く、カントが標準またはきつい場は、先行ラインにとっては厳しくなりやすく、スピードに乗った捲りや直線勝負の追い込みが決まりやすい傾向があります。一般的に「長い直線の場は差し・追い込み向き」と言われますが、今回の整理でもその傾向がはっきり表れています。

先行有利×捲り・追い込み不利は10場

一方で、「先行有利×捲り・追い込み不利」のグループも10場あり、函館、西武園、大垣、玉野、小松島、佐世保、松戸、小田原、奈良、高知がここに入ります。こうした場では、主導権を取ったラインがそのまま粘り込みやすく、特に短いみなし直線と緩いカントの組み合わせでは、その傾向がさらに強くなります。

西武園、玉野、松戸、高知などは、後方一気の差し脚に頼るよりも、先に動いて位置を取り、早めに主導権を確保した側が有利になりやすいバンクと言えるでしょう。

どの戦法でも力を出せるのは10場

また、「先行有利×捲り・追い込み有利」という、一見すると相反する要素を併せ持つ場も10場あります。取手、京王閣、平塚、静岡、福井、岸和田、高松、久留米、富山、防府がこのグループです。ここは「絶対に先行有利」「絶対に追い込み有利」と単純化するのではなく、展開次第で前も残れば後ろも届く、いわばバランス型のバンクと考えると分かりやすいでしょう。予想面でも脚質の固定観念を持ちすぎず、ライン構成や当日の風向き、選手の仕掛けどころを丁寧に見たいタイプです。

みなし直線×カントのパターンは?

次に「みなし直線×カント」の9パターンを見ると、バンク特性の違いがより明確になります。「短い×きつい」の小田原は、先行有利で追い込み不利という基本傾向に加え、スピードタイプ向きという特徴があります。「短い×標準」の佐世保、奈良も、前で踏んだ選手が粘り込みやすく、王道の先行有利型です。さらに先行色が強いのが「短い×緩い」で、西武園、玉野、松戸、高知が該当します。この組み合わせは今回の9分類の中でも先行有利色が最も強く、後方からの追い込みはかなり苦しくなります。

中間型として見ておきたいのが、「標準×きつい」、「標準×標準」、「標準×緩い」の3タイプです。高松、防府が該当する「標準×きつい」は中立寄りながらスピード型・外伸び寄り、取手、京王閣、平塚、福井、久留米、富山が入る「標準×標準」は脚質の偏りが比較的小さいバランス型です。函館、大垣、小松島の「標準×緩い」はやや先行寄りで、位置取りの良さが生きやすい場と整理できます。このあたりは単に直線の長短だけを見るより、カントの強弱を重ねて見ることで、より実戦的な理解につながります。

そして最も場数が多く、全体傾向を形づくっているのが「長い×きつい」と「長い×標準」です。「長い×きつい」には、いわき平、名古屋、豊橋、松阪、松山、小倉、別府、熊本、前橋、伊東温泉が入り、先行不利、捲り・追い込み有利が強く、さらにスピード型向きという色合いを持ちます。「長い×標準」は青森、弥彦、立川、川崎、岐阜、四日市、和歌山、広島、武雄、宇都宮、大宮で、こちらも基本は先行不利で、直線勝負に持ち込みやすいタイプです。一方、静岡、岸和田の「長い×緩い」は、前も残りつつ捲り・追い込みも届くという、比較的柔軟な展開になりやすい特徴があります。

まとめ

今回の整理から見えてくるポイントは3つです。第一に、全体では「長い直線」の場が多く、捲り・追い込みが届きやすいこと。第二に、「短い直線×緩いカント」は先行有利色がかなり強いこと。第三に、周長だけで判断するのではなく、みなし直線とカントを組み合わせて見る方が実戦的だということです。たとえば333バンクだから必ず先行有利、500バンクだから必ず追い込み有利、というような単純な見方では足りません。実際には、同じ周長でもみなし直線やカントが異なれば、レースの質はかなり変わります。競輪場の傾向をつかむ際は、まず「長いか短いか」、次に「きついか緩いか」、そして最後に出走メンバーの脚質とライン構成を重ねる。この順番で見ていくと、バンク特性を予想に落とし込みやすくなるはずです。

参考:全競輪場バンクデータ

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