【競輪・寛仁親王牌】G1に点数90点台の選手が出場できるワケ

29日、10月19日(木)～22日(日)に弥彦競輪場で開催される「第32回寛仁親王牌・世界選手権記念トーナメント」の出場選手が発表された。

S級S班9名を筆頭にS級トップ選手があっせんされているが、S級2班からも14名が出場し、中には競走得点90点台でG1初出場となる選手もいる。本来G1にはほとんど競走得点100点以上の選手が出場してくるが、寛仁親王牌はその出場条件の性質上、普段G1に出場しない選手が顔を出す貴重な開催となっている。

寛仁親王牌の出場条件
全プロの結果が出場権に直結
今年G1初出場となるのは？
参考：今年の全プロ主な結果

寛仁親王牌の出場条件

寛仁親王牌の出場条件は以下の通り。

(1) S級S班在籍者
(2) 過去3回以上優勝した者（開催時S1）
(3) 選手選考対象期間において2ヶ月以上JCFトラック種目強化指定（A）に所属した者（開催時S1）
(4) 世界選トラック競技出場者
(5) 世界選に準ずる国際大会トラック競技の1～3位
(6) アジア選ケイリン及びスプリント1位
(7) 過去のオリンピック自転車競技トラック種目メダリスト（全プロトラック競技出場予定かつ開催時S1）
(8) 全プロトラック競技出場者で
・ケイリン決勝出場者　・各競技1～3位
(9) 全プロトラック競技出場予定者で平均競走得点上位者
(10) (1)～(9)で108名に達しない場合は地区プロトラック競技出場者から平均競走得点を勘案し推薦

寛仁親王牌は国内外の自転車競技で活躍する選手にスポットを当てる大会。そのため、(3)～(9)は全て自転車競技関連の条件となっている。特に国際大会で活躍する選手の比重は大きく、様々な条件が盛り込まれている。

全プロの結果が出場権に直結

しかし、今回注目したいのは（8）全プロトラック競技出場者で・ケイリン決勝出場者　・各競技1～3位　の条件。毎年5月に開催される全日本プロ選手権自転車競技大会（以下全プロ）のトラック競技は以下の7競技となる。

・スプリント　・ケイリン　・1キロタイムトライアル　・4キロ個人パシュート　・4キロチームパシュート　・エリミネーション　・チームスプリント

これらの競技で3位以内に入賞すれば出場権を獲得できる。スプリント・ケイリン・1キロタイムトライアルなど競輪の実力が比較的反映されやすい競技もある一方で、全く競技性が異なるエリミネーションや、4人で走るチームパシュートからは、普段競輪でG1に出場しない選手が選出されることも少なくない。

今年G1初出場となるのは？

今年、寛仁親王牌でG1初出場を果たすのは以下の5名。

氏名	登録地	出場要件
窪木一茂	福島	世界選トラック競技出場
中島詩音	山梨	全プロチームスプリント優勝
新村穣	神奈川	全プロ個人パシュート 2位
重倉高史	富山	全プロチームパシュート 3位
吉川希望	石川	全プロチームパシュート 3位

特に、吉川希望（石川111）は今期が初のS級で、まだ予選突破もなく競走得点は92点台。普通ならG1・G2に選出されることはまずない選手が、こうしてG1に参加できるのが、寛仁親王牌の大きな特徴の一つとなる。

この他にも、全プロにおいて「一芸」に秀でた選手は寛仁親王牌の常連となっている。ロードレースにも参加し、4キロ個人パシュートに絶対的な自信を持つ渡辺正光（福島95）は2019年以来4年ぶり5度目の出場。エリミネーションで過去3回の優勝を誇る小林潤二（群馬75）も2019年以来4年ぶり7度目の出場となる。

これらの選手にとっては、普段経験することのできないトップクラスの戦いを肌で感じられる貴重な機会。特に若手選手は、この経験を今後のレベルアップに生かしてもらいたい。