G1「オールスター競輪」決勝回顧&振り返り
16日、G1「オールスター競輪」決勝が行われ、徳島119期の犬伏湧也が優勝した。犬伏は通算33回目、G1は8回目の決勝進出で悲願の初優勝となった。2着には吉田拓矢、3着には守澤太志が入った。3連単は9-5-8で13,140円。
オールスター競輪決勝 展開
初手の並びは誘導以下、1石原ー9犬伏ー4松本ー6佐々木、7清水、3古性、2眞杉ー5吉田ー8守澤。残り2周半から眞杉が四国勢を抑え、そのまま先行態勢。石原は離れた6番手から捲り返すが、番手の吉田が引き付けて最終バックで捲る。しかし石原に乗った犬伏も自らタテに仕掛け、3コーナーで前を捕らえて先頭に立ち、そのまま押し切った。
決勝振り返り
最大のポイントは古性の狙い
このレース、最大の謎は古性の動きだろう。
残り2周半、眞杉が抑えに行くタイミングで古性も一緒になって上がっていく。その後、終始犬伏のヨコで待つ動きを見せていた。古性からすれば、石原の突っ張りと読んで、その番手で勝負するのは至極自然な流れと言える。
しかし眞杉が厳しく石原を締め込んだことで、石原は突っ張りを諦めて引く形になる。順当に考えれば、引いてカマシにになる石原の番手よりは、先に抑えた眞杉と巻き返す石原の先行争い、もしくは番手もつれを誘発した上で、追い上げ・捲りを狙うのが筋だろう。
だが、同じ単騎だった清水が東日本勢を眞杉ラインを追ったのに対し、古性はまだ石原の後ろで勝負する構えを見せた。あるいは、犬伏が石原との車間を空けていたのを見て、このまま石原の番手で行こうと考えたのかもしれない。
その間に眞杉が肚を決めてペースを上げる。ここで古性は車間が大きく空いたことに気付き追い上げるが、時すでに遅し。清水との車間も8車身程度に開いてしまい、その間に石原・犬伏までにも捲られて万事休す。石原が引いたことで難しい判断を強いられたとはいえ、古性らしくない判断ミスが出たと言えよう。
四国ラインも瓦解…
とはいえ、四国勢もラインとしては全く機能しなかった。
まず赤板で抑えられ、石原が引く。犬伏は石原の影を追ったが、松本は大きく外に迂回してしまい、犬伏と横並びの格好になる。当然石原は引いてカマシなので、松本は犬伏の1車身後ろのやや外を回らなければならないが、そもそも犬伏が石原と車間を空け過ぎていた。
これはおそらく、前にいた古性の動きが気になったのだろう。仮にピッタリ張り付けば、古性に捌かれる危険性もある。それを考えて、かなり慎重な追走を選択したと思われる。
しかし、後ろのことを考えると車間を空け過ぎだったことは否めない。そのせいで、松本は打鐘までバックを踏み切れず、前2人のダッシュに対応できなかった。石原・犬伏・松本と、3人が3人共細かいミスをした結果、四国ラインはバラバラの追走となってしまった。ちょうど7月の小松島記念も、四国勢はそれぞれのミスで崩壊したが、この辺りが今後の課題になることは明らかだろう。
それでも犬伏のパワーは凄かった
四国ラインは結果瓦解したが、それでも犬伏の力強い捲りはまさに異次元だった。
前で待つ吉田は最終2コーナーで1回外に車を振り(これもほぼ空ブロックだったが)、捲ってきた石原に併せて番手捲り。しかし犬伏はさらにその外を捲ってしまった。
吉田の判断も若干遅かったかもしれないが、おそらくドンピシャのタイミングで番手捲りを打ったとしても犬伏はそれを超えていただろう。上りは10.8。最終ホームでは約10車身あった差を半周で詰めたのだから、これは犬伏のスピードを讃える外はない。
今後の課題は?
かくして、ついに正真正銘のタイトルホルダーとしてS級S班に名を連ねることになった犬伏。今後は今回タッグを組んだ石原・松本らと共に四国一大勢力を率いることになるが、今後の課題も明白だ。
今回は地元地区の利と圧倒的なパワーで勝ち切ったが、これが別地区ともなればそうはいかない。今回のようにラインが瓦解すれば、他地区ならそう簡単に勝てないだろう。四国地区でタイトルをたらい回しにするのであれば、ライン戦への習熟が急がれることは明らかだ。
とはいえ、準決勝で清水を振り切った石原の先行は強烈だった。この先行と犬伏のパワーがあれば、他地区もそう簡単には抵抗できない。この2人に番手の技術が加われば、吉田・眞杉、脇本・古性に次ぐ第3のゴールデンコンビ誕生の日もそう遠くはないだろう。
スピード地獄だった今年のAS
今年のオールスターは、回転型に有利な高速バンク・松山で開催されたこともあり、連日10秒台~11秒台前半が連発するスピード地獄の様相を示していた。犬伏・太田・清水で決まった初日オリオン賞は上位6選手が上り10秒台、シャイニングスター賞も打鐘から逃げた太田が上り11.5でまとめるなど、追い込み選手にはきつい展開となった。
今後もこの傾向は加速するだろう。先行しても11秒台前半、捲りなら10秒台が出なければ決勝進出すら困難な開催が予想される中、各選手はどのようにそのスピードレースに対応するのか。それに加え、どう安全を保っていくのかが、今後の競輪界全体のタスクになってくることは間違いない。
