【岐阜競輪G3展望】|S級S班の状態に注目、大挙地元勢に好機あり
9月26日から29日まで、岐阜競輪場で開設77周年記念G3「長良川鵜飼カップ」が開催される。S級S班から脇本雄太、嘉永泰斗が参戦するものの、両者とも直前の共同通信社杯では本来の姿を見せ切れなかった。対して地元岐阜勢はS1だけで5人、さらに若手の棚瀬義大、岩井芯までそろう充実の布陣。絶対的な本命不在とまでは言えないが、今年の岐阜記念は「SS対地元勢」という構図が例年以上に鮮明になりそうだ。
岐阜は周長400メートル、見なし直線59.3メートル。400バンクとしては直線が長く、カントも比較的きつい。先行、まくり、追い込みのいずれにも極端な有利不利がなく、ラインの総合力をそのまま発揮しやすい。ただし風向きが複雑で、早めに踏んだ自力型が直線で失速するケースもある。若手が主導権を取り、実力者が番手から抜け出す形は今回も重要になる。
S級S班 脇本雄太・嘉永泰斗ともに状態確認が必要
格だけなら脇本雄太がシリーズ最上位。しかし現在は「脇本だから無条件に中心」とは言いにくい。
オールスターでは勝ち切れず、直前の共同通信社杯も一次予選6着、二次予選B8着。選抜戦では白星を挙げたものの、最終日特選は6着に終わった。7月の前橋G3を完全優勝した時の圧倒的なスピードと比べれば、まだ本調子へ戻り切っていない印象が残る。
近畿には三谷将太、稲川翔、神田紘輔という強力な追い込み陣がそろう。脇本が自ら前を走るだけでなく、岸田剛ら近畿の機動型を生かせる番組なら負担は軽くなる。勝ち上がりながら状態を上げられるかが焦点だ。
嘉永泰斗も共同通信社杯は6591と厳しい結果。最終日には鋭い捲りで白星を挙げ、最低限の存在感は示したものの、S班として期待される安定した勝ち上がりとはならなかった。
ただし岐阜との相性は悪くない。昨年の記念では初日、二次予選を連勝し、準決勝2着で決勝進出。決勝は7着だったが、当地で戦えることは証明済みだ。山崎賢人、阿部英斗ら九州の機動型を前に置ける展開なら、嘉永自身がすべてを動かす必要もない。
中部 地元岐阜が今シリーズ最大勢力
今回、最も注目したいのは地元岐阜勢だ。
S1には志智俊夫、川口公太朗、川口聖二、山口拳矢、吉田有希の5人。さらにS2には棚瀬義大、岩井芯という将来の中部を担う若手機動型が参戦する。ライン構成を考える上で、これほど魅力的なメンバーはない。
吉田有は積極策を基本とし、棚瀬は近況も長い距離を迷わず踏んでいる。岩井は先行だけでなく捲りの破壊力も増し、今年6月の当地G3で優勝。棚瀬も同開催最終日に白星を挙げており、両者ともホームバンクで力を発揮できる。
その後ろに山口がいる。自ら捲って勝負できるのはもちろん、若手を目標にすれば番手から縦へ踏める。さらに川口聖も自力自在、川口公と志智は追い込みでラインを支える。
例えば若手機動型―山口―川口公・志智という並びが完成すれば、脇本や嘉永を相手にしても簡単には崩れない。地元選手が多数同乗した場合は番組によって役割調整が必要になるが、基本的には若手が前実績上位が中核、追い込み型が後方という形で結束したい。SS2人の状態に不安がある今回だからこそ、地元記念奪取の好機は大きい。
北日本 共同通信社杯決勝組・菅田壱道が軸
北日本は菅田壱道の状態が非常にいい。共同通信社杯では二次予選B、準決勝を連勝して決勝へ進出。その前の武雄F1も優勝しており、今回のメンバーなら優勝争いの中心に入る。
新田祐大も依然として自力を持つため、同乗すれば新田と菅田の前後関係がポイント。その後ろには和田圭、渡部幸訓という一線級の追い込み型が控える。
北日本は地元ほど人数が多くなくても、前から後ろまで格の高い選手を並べられる。新田―菅田―渡部、あるいは和田まで続く長いラインが実現すれば、中部勢にとって最大級の脅威となる。
関東 好調・堀江省吾を武藤龍生らが援護
関東では堀江省吾が面白い。直前の共同通信社杯最終日に白星を挙げ、近況もバックを取る競走が続く。徹底先行だけではなく、展開に応じた競走ができるようになっている。
武藤龍生は番手での仕事に定評があり、佐藤礼文も鋭い差し脚を備える。堀江を先頭に武藤、佐藤と並べれば、地元中部にも対抗できるまとまりのあるラインとなる。強力なSSが不調なら、こうした完成度の高い地区ラインが記念では怖い。堀江が迷わず主導権を奪えるかがポイントだ。
南関東 青野将大と齋木翔多で主導権を狙う
南関東は青野将大、齋木翔多という積極型に、渡邉雅也、松谷秀幸が加わる。
青野は長い距離を踏め、齋木も先行、捲りを使い分けられる。渡邉は近況、自力自在の幅が広がっており、若手を前に置けば番手戦も選択可能。松谷が後ろを固めればライン全体の安定感は一気に高まる。岐阜は直線が長いため、先行選手がただ逃げるだけでは最後に捕まる。青野や齋木がペースを作り、渡邉、松谷が直線へ向けて脚を残す形なら南関東の上位独占も見えてくる。
近畿 脇本を支える追い込み陣は充実
近畿では脇本の状態が最大の焦点だが、後ろの選手は強力だ。
三谷将太は近況も差し脚が安定し、稲川翔は厳しい位置取りと縦脚を併せ持つ。神田紘輔も番手以降で堅実。脇本が本来のスピードを取り戻せば当然近畿がシリーズを支配する可能性は高い。
逆に脇本が仕掛け切れない場合でも、近畿には岸田剛など前を任せられる選手がいる。脇本一人の自力勝負に固執せず、地区全体で勝ち上がる形を作れるかが重要になる。
中四国 猿樂楓樹―松浦悠士―桑原大志なら強力
中四国の注目3人は実質的に中国勢。若手の猿樂楓樹がラインの鍵を握る。積極性が際立ち、直近も高い連対率を維持。記念の上位陣とは経験差があるが、思い切って先行できれば後ろの松浦悠士にとって絶好の目標になる。
松浦は共同通信社杯こそ初日8着で勝ち上がりに失敗したが、その直前の青森記念を優勝している。状態そのものを悲観する必要はない。猿樂―松浦―桑原大志の3車が組めれば、若さ、総合力、追走力がそろった非常に強力なラインとなる。
九州 山崎賢人を軸に嘉永の復権なるか
九州は選手層で地元勢に対抗できる地区だ。
山崎賢人は共同通信社杯で一次予選と最終日に白星。勝ち上がりでは取りこぼしたものの、先行、捲りのスピードは今回でも上位にある。その共同通信社杯で準決勝に勝ち上がった阿部英斗も勢いがあり、前を任せられる存在。そこへ嘉永、山田英明、野田源一が加わる。
阿部や山崎が前で動き、嘉永が中核、その後ろを山田が固めるような形なら非常に強力だ。野田は単騎でも一発があるが、地区でまとまれる番組なら連係を基本に考えたい。嘉永が共同通信社杯で崩れた流れを、強力な九州ラインを生かして立て直せるか。シリーズ全体の大きなポイントとなる。
まとめ 今年の岐阜記念は地元勢に大きなチャンス
通常ならS級S班の脇本雄太、嘉永泰斗が優勝候補の中心になる。しかし脇本はオールスターから共同通信社杯まで本来の圧倒感を欠き、嘉永も共同通信社杯で勝ち上がりに苦戦した。
だからこそ今年は地元岐阜勢に好機がある。吉田有希、棚瀬義大、岩井芯という先行型を、山口拳矢、川口聖二が生かし、志智俊夫、川口公太朗が後方を固める。これほど地元勢の役割が明確にそろう記念は多くない。
最大のライバルは好調な菅田壱道を中心とする北日本、松浦悠士を軸に若手・猿樂楓樹を使える中国勢、そして山崎賢人と嘉永泰斗を擁する九州。
SSの復活か、地元中部の総力戦か。初日からライン構成そのものが勝負を左右する4日間となりそうだ。

