泣いても笑っても、これがクライマックス
4日間に渡り、スター選手が激闘を繰り広げてきた第63回オールスター競輪も、いよいよクライマックスの最終日。雌雄を決する決勝戦を迎えた。7車立ての単調なレースに辟易し(?)、死闘に飢えた選手たちが身を削る攻防を繰り返した結果、大量落車あり、大万車券ありと波乱要素を多分に含んだ開催となった。そんなオールスター競輪決勝戦を大展望する。
4日目準決勝の結果はこちら⇒
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決勝戦 出走選手
車番 | 選手名 | 登録地 | 年齢 | 期別 | 今回成績 |
① | 古性優作 | 大阪 | 29歳 | 100期 | ❼①② |
② | 諸橋愛 | 新潟 | 43歳 | 79期 | ❶❹② |
③ | 松浦悠士 | 広島 | 29歳 | 98期 | ❸❸③ |
④ | 守澤太志 | 秋田 | 35歳 | 96期 | ❹①③ |
⑤ | 山田英明 | 佐賀 | 37歳 | 89期 | ❸③② |
⑥ | 柏野智典 | 岡山 | 42歳 | 88期 | ③③① |
⑦ | 脇本雄太 | 福井 | 31歳 | 94期 | ❶❽❶ |
⑧ | 内藤秀久 | 神奈川 | 38歳 | 89期 | ①②③ |
⑨ | 原田研太朗 | 徳島 | 29歳 | 98期 | ❾②① |
勝ち上がった選手の地区がバラバラで並びが難しくなったが、⑦脇本雄太―①古性優作の近畿勢には④守澤太志。⑤山田英明には同期・89期の⑧内藤秀久。中四国は⑨原田研太朗―③松浦悠士―⑥柏野智典でまとまり、②諸橋愛は例によって単騎となった。
古性が内枠となったことで、脇本が前を取らされそう。初手の並びは⑦①④②⑤⑧⑨③⑥が有力。こうなれば、原田が抑えて山田が中団、脇本は後方に構えて機を伺う、というシンプルな展開になる。⑨③⑥②⑤⑧⑦①④で打鐘を迎え、そこからは捲る脇本と番手で応戦する松浦の勝負か。山田は仕掛けのタイミングが難しく、ほんのわずかなワンチャンスに賭ける展開になりそう。
セオリー通りならば、近畿ですんなり(いわゆる「何もない」決着)ワンツーの⑦①、松浦が番手で抵抗する⑦③、③⑦。脇本が脚を使う展開なら古性の逆転も十分で①⑦。この辺りだろう。
しかし、筆者は今回、中四国勢は今回苦しいと見る。その理由は二つ。
一つ目は、松浦の準決勝の動きの悪さ。絶好調ならば、そう簡単に脇本に3番手を取られることはなかっただろう。現に、シャイニングスター賞こそ自力で仕掛けて3着に粘り込んだものの、初日は脇本の先行の前に流れ込むのが精一杯。好調時の俊敏な動きにはもう一歩届いていないように見える。G1の決勝という舞台は、些細な出来の違いが結果を分けるもの。絶好調でない選手が戴冠できるほど、この舞台は甘くはない。
二つ目は、先頭を務める原田研太朗の存在。その脚力とスピードは誰もが認めるところだが、やはり原田と言えばカマシ・捲りというイメージがあり、「航続距離」という点ではトップ選手に比べると一枚落ちる。その原田が、早めに抑えて駆けるようなレースを選択するかどうか?そして、選択したとしても、脇本を振り切れるようなスピードを持続できるかどうか?松浦が仮に番手捲りを打ったとしても、それまでに原田のスピードが鈍り、脇本にその上行かれてしまえばそれまで。必死の抵抗空しく、脇本に粉砕されてしまう可能性も十分にあり得る。
以上二つが、中四国勢苦戦予想の理由である。また、別線の山田については、前述の通り本当に針の穴ほどのチャンスを逃さず仕掛けるしかない。原田と脇本が意識しあってスプリント勝負になったところを決死の覚悟でカマすか、逆に両者が踏み合ったところを捲りに行くか…。いずれにしても、こちらは中四国勢以上の苦戦を強いられそうだ。
そしてもう一つのポイントが単騎諸橋の存在だが、これも非常に難しい。近畿の後ろを選択しては勝負権がない上、中四国の4番手を追っても前述の通り脇本に飲み込まれる可能性が高い。こちらはとにかくインとコース突きにこだわり、誰かが空けたところを諸橋特有の勝負勘と度胸でこじ開けるしかないだろう。
もし脇本が敗れることがあるとしたら、考えられるパターンは二つ。一つ目は、出切るまでに脚を使い、マーク古性、あるいは松浦、山田あたりにゴール前逆転を許すパターン。もう一つは、シャイニングスター賞同様内容重視の走りをした結果、直線で末を無くして後ろに差し込まれるパターン。すでに脇本は高松宮記念杯を制しており、年末のKEIRINグランプリの出場権は手にしている。グランプリでラインを組む選手を一人でも多く連れ込むために…という判断が脇本に少しでも働けば、古性に戴冠のチャンスが回ってくるが…。
以上長々と講釈を垂れたが、結論は結局脇本=古性の近畿ワンツーが最有力。ここまで説明不要で本命に推せる選手も稀有な存在だろう。さながら、全盛期のレジェンド選手―中野浩一、吉岡稔真、神山雄一郎など―を見ているようである。
まとめ
決勝戦はもちろん、(稀に例外もあるが)全員が1着のみを目指してレースに臨む。したがって、選手は自分が勝てる最高のレースをしに行く。ファンはそれを念頭に置きつつ、各選手が最も力を発揮できる展開をいくつも予想しなければならない。ここが決勝戦の難しいところであり、面白いところである。
いずれにせよ、残されたレースはあと一つ。皆さんも、思い思いの選手に自分の予想を託していただきたい。
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