KEIRINグランプリ出場選手紹介
KEIRINグランプリ2020に出場する9選手を一挙紹介。第2回は、高松宮記念杯と寛仁親王牌を制し、今年後期の競輪界を制圧したオリンピアン・福井94期の脇本雄太を特集する。
デビューからの経歴
福井の怪童・脇本ここにあり
デビューは2008年7月12日の福井競輪場。高校時代から国体1キロタイムトライアルで連覇を達成するなど、注目を集める存在だった脇本はすぐに頭角を現す。2008年9月の初優勝以降は3カ月で4回の優勝を飾り、年末のレインボーカップ決勝進出で早々にチャレンジレースを卒業した。
A級上位戦でも優勝を重ね、デビュー1年半後の2010年1月にはS級に昇級。更には7月の前橋寛仁親王牌で、並み居る強豪を相手にG1初出場決勝進出という離れ業を成し遂げ(9着)、全国にその名を轟かせた。
2012年は函館高松宮記念杯でG1・2度目の決勝進出。「平成の怪物」深谷知広(愛知・96期)との壮絶なもがき合いを制し、直線では武田豊樹(茨城・88期)にかわされたものの2着に粘り込んだ。その後、弥彦寛仁親王牌・前橋オールスターでも決勝進出。グランプリ出場こそ叶わなかったものの、獲得賞金第10位で大きな躍進を果たし、タイトル奪取も時間の問題かと思われた。
もどかしい日々
しかし、翌2013年はG1決勝進出無しに終わり、ここから思わぬ足踏みが続く。G3・F1クラスでは持ち前のスピードで他者を圧倒し、優勝を量産したが、G1ではレベルの違う強敵相手に大敗を重ねることも少なくなかった。その後も2014年~2016年はそれぞれ年2回、2017年はいわき平オールスターで決勝進出を果たしたが、いずれも着外に敗れ、G1初制覇の文字は霞む一方だった。
それでも、2016年には自転車競技の方でリオデジャネイロ五輪・ケイリン代表に選出されるなど、ワールドクラスのスピードを肌で実感した。この時の経験が、2年後の大きな進化に繋がったのだろう。
怪童・脇本完全復活
迎えた2018年、脇本はついに覚醒する。5月の平塚日本選手権で実に6年ぶりとなるG1の表彰台に上る(3着)と、続く岸和田高松宮記念杯では打鐘から一気の仕掛けで3番手以下を引き離す。ゴール前はわずか1/2車輪三谷竜生(奈良・101期)にかわされたが、ファンに強烈なインパクトを残した。
そして迎えたいわき平オールスター競輪。打鐘手前からのロングスパートで前を捕らえると、もつれた2番手以降を尻目に後続を3車身引き離す圧巻のレースぶりでついにG1初制覇。これがG1決勝戦進出14度目での優勝であり、14度目の挑戦での初優勝はグレード制導入後最多であった。
続く寛仁親王牌では、逃げる清水裕友を3番手から捲って仕留め、G1連覇を達成。名実ともに競輪界最強の自力選手の座を手中に収めた。
”世界の脇本”としての挑戦は続く
KEIRINグランプリ2018は先行するも5着。2019年以降は、ナショナルチームの一員として積極的に自転車競技に参加しているため、日本での競輪参戦はほとんどG2以上のビッグレースに限られている。それでも、2019年は大垣ウィナーズカップ、松戸日本選手権を強烈な内容で連覇。特に、日本選手権は4日間後続を子ども扱いする内容で完全優勝を果たした。
2020年は、2月の世界選手権ケイリンで銀メダルを獲得するも、代表に内定していた東京五輪が延期に。それでも、6月の和歌山高松宮記念杯から日本の競輪に参戦すると、瞬く間に完全優勝。その後、10月の前橋寛仁親王牌ではナショナルチームで鎬を削る新田祐大との極限のスピードバトルを制し、G1・5勝目を飾った。
後述するが、今年は高松宮記念杯以降わずか6節のみの参加にもかかわらず、獲得賞金は1億円越え。勝率は70%強という、強烈な成績を残している。来年に控えた仕切り直しの東京五輪へ向け、進化を続ける脇本。今年こそ、先行でグランプリを制することが出来るか。
競輪歴15年(みんなの競輪チーム 所属)
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