第36回共同通信社杯 準決勝振り返り
「第36回共同通信社杯」は3日目が終了。準決勝3レースを振り返る。
10R
残り2周半で②山田英明が上昇し前を切ろうとするが、前受けの⑨新田祐大が突っ張り前をキープ。そこを⑦吉田拓矢が叩いて出ると、打鐘手前で③鈴木裕がさらにその上を叩き返して先行。すかさず⑨新田が巻き返すが、①佐藤慎太郎との連携は瓦解して単騎で大逃げの恰好に。離れた2番手を追ったのは後方から捲った②山田で、残り半周は完全に2人のマッチレース。直線は迫る②山田を⑨新田が振り切った。なお3着争いは後方から捲り上げた⑤吉澤純平が③鈴木をわずかに制した。
11R
全員が後方の①脇本雄太を意識し、なかなか動かない展開。赤板で③清水裕友が飛び出すと、前を取っていた⑧中本匠栄が番手に飛びつき⑥久米康平を捌く。そこを後方から①脇本が叩いたが、⑨村上義弘は離れ、最終2コーナーで単騎前へ出る。③清水も懸命に前を追ったが、第2先行となり直線は失速。①脇本は押し切り、離れた2,3着には⑧中本、④園田匠の九州勢が入った。
12R
残り2周半から④岩本俊介⇒⑥新山響平の順で前を押さえる展開。更に⑧島川将貴が前に襲い掛かり、⑧島川と⑥新山で激しい先行争いに。もがき合う展開を最終ホームで②山崎賢人が叩き切るが、後ろに切り替えたのは①松浦悠士。後ろをじっくり回り、直線で踏み込んで前を捕らえた。②山崎が粘り込んで2着。3着には後方から捲った④岩本が入った。
第36回共同通信社杯決勝戦予想
いよいよクライマックスを迎える決勝戦。九州4車が大挙して参戦した他は、全てが別地区の選手と多彩な顔触れが揃ったが…。
車番 | 選手名 | 登録地 | 競走得点 | 年齢 | 期別 | 今回成績 |
① | 新田祐大 | 福島 | 121.00 | 34 | 90 | ①①① |
② | 脇本雄太 | 福井 | 120.73 | 31 | 94 | ①①① |
③ | 山崎賢人 | 長崎 | 111.36 | 27 | 111 | ③①② |
④ | 岩本俊介 | 千葉 | 111.33 | 36 | 94 | ②②③ |
⑤ | 山田英明 | 佐賀 | 115.04 | 37 | 89 | ③③② |
⑥ | 中本匠栄 | 熊本 | 109.04 | 33 | 97 | ④②② |
⑦ | 松浦悠士 | 広島 | 117.40 | 29 | 98 | ②②① |
⑧ | 園田匠 | 福岡 | 110.00 | 38 | 87 | ①④③ |
⑨ | 吉澤純平 | 茨城 | 112.19 | 35 | 101 | ①④③ |
並び予想を聞いた瞬間、筆者の口を突いて出た言葉は「何だそりゃ」のみであった。まさかの、九州勢以外全員単騎戦。同期ラインで脇本―岩本や、東日本連携で新田―吉澤の並びもあり得ると予想していただけに、拍子抜けを食らった。これも、一番強い先行選手である②脇本雄太を自力で倒したいという、自力選手としてのプライドだろうか。
問題の予想だが、正直なことを言うと「予想のしようがない」(本当はこんなことは言っていけないのだが)。このようなライン形成となった以上、③山崎賢人は逃げ以外の選択肢がなくなる。先手を取った九州勢の番手から⑤山田英明が抜け出しを狙うところへ、①新田祐大、②脇本雄太、⑦松浦悠士の3名が襲い掛かり、直線へ…という展開しか想像が出来ない。
これが脇本の先行1車なら、⑦松浦や⑨吉澤純平は番手に飛びついたり、3番手を分断したりという価値はある。しかし、今回はメンバー中格が4番目か5番目の③山崎だ。展開をもつれさせようものなら、あっという間に他の選手に捲られて終わりだろう。そういう意味でも、今回は好位切り込みを狙う作戦は旨味が薄い。
他に考えられる展開としては、②脇本や①新田の単騎カマシ。このメンバー相手に赤板から先行することはなくとも、打鐘からなら一気に仕掛けて500mを踏み切ろうとする可能性は無くはない。しかし、そこまでにペースが緩んでいるとも考えづらく、九州勢が作った流れをわざわざ早めに仕掛けて目標にされるのもあまり得策とは言えない。従って、この展開もあまり積極的には推せない。
よって、一番可能性が高いのは究極のタテ脚勝負。まさに、カタカナの「ケイリン」を体現するレースだ。本線は②脇本、①新田、⑦松浦の力上位ボックス。そこに番手を活かす⑤山田がどこまで食い下がれるか。オールスター決勝戦の内容を見るに、食い込めても2,3着争いか…という感がある。
配当を追うのであれば④岩本俊介、⑨吉澤純平の2,3着付け。「3強」の一角が崩れれば、少しはいい配当が付くだろう。
ガールズケイリンコレクション予想
また、最終日9Rにはガールズケイリンコレクションが行われる。出走表はこちら。
車番 | 選手名 | 登録地 | 競走得点 | 年齢 | 期別 |
① | 梅川風子 | 東京 | 57.52 | 29 | 112 |
② | 石井寛子 | 東京 | 55.45 | 34 | 104 |
③ | 高木真備 | 東京 | 57.67 | 26 | 106 |
④ | 柳原真緒 | 福井 | 55.33 | 23 | 114 |
⑤ | 鈴木美教 | 静岡 | 55.14 | 26 | 112 |
⑥ | 石井貴子 | 千葉 | 57.22 | 30 | 106 |
⑦ | 大久保花梨 | 福岡 | 55.50 | 22 | 112 |
内枠に有力選手が集まっており、枠的に不利な⑥石井貴子がいかにして局面を打破するかがポイントとなる。いくら捲りが決まりやすい伊東温泉とはいえ、最終バックまでに最低でも4番手にはいないと勝つチャンスはないだろう。本線は積極的に動きそうな③高木真備と、好枠を活かしてその後ろが取れそうな①梅川風子のマッチレース。①③、③①が大本線。⑥石井は走り慣れた333mバンクでどこまで迫れるか。3連続優勝中の地元⑤鈴木美教ももつれればチャンスは十分だ。
まとめ
まさしく前代未聞の並びとなった決勝戦。ライン一つ、あとの選手は全員単騎というライン構成は、チャレンジレースやA級戦の負け戦でたまにある形だが、まさかG2の決勝戦で発生するとは…。当日のオッズも楽しみな決勝戦、皆様もどうぞお楽しみに。
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競輪歴15年(みんなの競輪チーム 所属)
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