G2「第39回共同通信社杯」決勝戦結果・回顧＆選手採点

第39回共同通信社杯決勝戦結果
決勝戦回顧
選手採点
編集部より
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第39回共同通信社杯決勝戦結果

「第39回共同通信社杯G2」は18日決勝が行われ、静岡の深谷知広が優勝した。深谷は2014年のサマーナイトフェスティバル（松戸）以来、G2は4勝目。共同通信社杯は初優勝となった。2着は新山響平、3着は隅田洋介が入った。配当は3連単が2-1-6で36,750円。

決勝戦回顧

初手は４三谷９南７渡邉２深谷１新山８佐々木３清水６隅田５嘉永。打鐘手前で８佐々木が前へ出るが、流した所を７渡邉が一気にカマして主導権。しかし１新山が単騎でさらに叩き、後続を突き放す。捲った５嘉永は２深谷に張られて不発。直線は3番手から伸びた２深谷が、先に抜けた１新山を捕らえてゴールした。

選手採点

1着　２深谷知広　５．０

前の渡邉の頑張りもあったが、自身も捲った嘉永を止める見事な動き。ギリギリまで前をかばい直線は前を捕らえる番手の見本のような動きで久々の美酒。

2着　１新山響平　５．０（＋０．５）

このレースで間違いなく最も強い内容を見せたが…。敗因はただ一つ、「単騎」だったことだろう。後ろに守る選手が一人でもいれば結果は違っていたかもしれない。

3着　６隅田洋介　４．０

ゴール前の末脚は目立ったが、前と連携を外して中四国ライン瓦解の一因になったのは反省点。足し引きして評価はプラマイゼロに。

4着　８佐々木豪　３．０（－０．５）

結果として中団が取れたが、2車で積極的に動いた渡邉とは地力の差が出てしまった。着順以上に力負けの内容。

5着　７渡邉雄太　４．０（＋１．０）

残り2周、一気にカマして出ると思わせてペースを上げさせ、佐々木が前に立って流した所を改めて仕掛けるという頭脳プレー。新山とは力の差を見せられたが、深谷の優勝に貢献した。

6着　９南修二　２．５

最終バック9番手ではどうにもならなかった。

7着　５嘉永泰斗　１．５（－０．５）

初手で位置を取れなかったのもあるが、付いていくラインを間違えた上、別線に徹底的にマークされた。タイトルを獲るにはこの包囲網をいかに乗り越えるかが課題となる。

8着　４三谷竜生　１．０（－０．５）

内に詰まってこれと言った見せ場を作れず。

9着　３清水裕友　１．０

嘉永をけん制した動きはあったが、そこから新山、深谷を前に置いて捲れるほどの力差は無かった。ラインとして完全敗北。

編集部より

①風速3m、自力泣かせの厳しいバック向かい風

非常に難しいレースとなった共同通信社杯決勝。大前提として風がバック向かい風3.0ｍと、4日間で最も厳しいコンディションとなった。現に、最終日は上り10秒台を記録した選手がいたレースが3Rのみ。それまでは10秒台の上りもバンバン出ていただけに、自力選手にとっては仕掛け方が難しい一戦だったと言える。

②評価されにくい新山の強さ

そんな環境を1人で仕掛けた新山はやはり強い。どうしても同地区にS級S班が他に3人もいる・徹底先行に近い脚質という要素から大敗も多く、その度にSSとしては批判に晒されやすい結果ではあるが、ロングスパート力という点では脇本・犬伏らと並ぶ輪界最高峰の力を持っていることに疑う余地はない。

そんな新山を持ってしても、決勝の上りは11.9だった。ホーム追い風・バック向かい風というコンディションに乗ってホーム～最終バックのタイムは10.7相当（個人計測）だっただけに、バックで向かい風に晒されて急激に失速した。したがってこの日の青森バンクは相当に厳しい状態だったと言えるし、もしこの風が少しでも弱ければ深谷は届いていなかったかもしれない。

③番手選手として成長した深谷

それを考えると、2車でも積極的に飛び出した渡邉の動きは着順以上に評価できる。そして、その渡邉をギリギリまでかばった深谷も、番手の仕事がだいぶ板に付いてきた。新山に叩かれて先頭～2番手の車間が4車身と空き、外に捲る嘉永もやってきている時点で、経験の浅い自力選手ならたまらず渡邉を捨てて捲っていただろう。しかし、経験を重ねた深谷は落ち着いていた。ダイジェストを見ても嘉永を完全に失速させ、後ろから誰も来ないことを確認してから踏み込んで前を追っている。

番手が前の選手の頑張りに応えるのはもちろんだが、自分が良い着を取るだけが番手の仕事ではない。できるだけ前をかばい、良い着に残してゴールするのも一流の番手の役目だ。あれだけ深谷が丁寧な仕事をしたから、渡邉も3着と差のない5着に粘りこむことができた。それを見るに、番手捲り、2段駆けがトピックになりつつある今の競輪に、改めて番手の存在意義を問う内容だったと考えても良いだろう。