2026年のKEIRINグランプリ争いが、いよいよ秋の最終局面へ入る。8月末時点でG1を制して出場権を獲得しているのは、脇本雄太、古性優作、犬伏湧也の3人。残る9席のうち6席を巡る争いだが、賞金ランキングを見る限り、その6席すべてが横一線という状況ではない。

吉田拓矢はすでに1億8000万円を超え、眞杉匠も1億円を大きく突破。残るG1で賞金ランキング下位から複数の優勝者が誕生しても、この2人が賞金枠から押し出されるケースは現実的には考えにくい。現状では「ほぼ当確」と見ていいだろう。

さらに深谷知広、松浦悠士が8000万円台まで積み上げている。つまり現時点では、古性・犬伏・脇本の権利組3人、吉田・眞杉の賞金ほぼ確実組2人、深谷・松浦の有力組2人までの7人が大きくリード。実質的には残り2席を巡る戦いという見方ができる。

ただし、その「2席」の正体はまだ決まっていない。寬仁親王牌と競輪祭という2つのG1が残されているからだ。

今年の賞金ボーダーは9500万円~1億円前後か

まず過去の賞金ルートを振り返りたい。

賞金で最後にグランプリへ滑り込んだ選手の金額は、2022年が約8660万円、2023年が約8060万円、2024年が約7970万円。ところが2025年はG1優勝者が増え、賞金枠が圧縮されたことで、最後の賞金枠となった南修二が約1億400万円まで上昇した。

この流れを考えると、今年も「8000万円あれば十分」とは到底言えない。

しかも2026年は主要レースの賞金そのものが上がっている。共同通信社杯は優勝3200万円、2着でも1610万円。寬仁親王牌は優勝4700万円、2着2390万円、3着1540万円。最後の競輪祭に至っては優勝5500万円、2着2770万円、3着1810万円だ。

加えて、残るG3は8開催。優勝すれば1開催あたり640万円を積める。もちろん一人の選手がすべてのG3へ出場するわけではないが、記念1勝だけでも現在のボーダー集団では順位が大きく変わる。そしてG1決勝へ乗れば、優勝しなくても一気に1000万~2000万円単位で賞金を積み増せる。

以上を考えれば、今年の最終ボーダーは9000万円では足りない可能性が高く、9500万円前後を本線、1億円を超えればかなり安心できるラインと予想したい。

深谷知広・松浦悠士も「あと一押し」が欲しい

深谷と松浦は非常に有利な位置にいるが、まだ当確とは言い切れない。

現在8000万円台にいるため、共同通信社杯や残るG1で決勝へ進み、さらに1000万円前後を上積みできれば一気に安全圏へ入る。G3優勝でも大きい。逆に秋の重賞でほとんど賞金を積めず、寬仁親王牌と競輪祭を現在賞金圏外の選手が制するようなら状況は変わる。

特に残る2つのG1をそれぞれ新しい選手が優勝した場合、G1優勝者は5人となり、賞金でグランプリへ行けるのはわずか4人。その場合は吉田、眞杉に続く賞金枠2席を、深谷と松浦が守れるかという勝負になる。

昨年の賞金ボーダーが1億円を超えたのも、この「G1優勝者増加による賞金枠の圧縮」が大きかった。今年も同じことは十分起こり得る。

郡司浩平以下は大混戦 G1決勝一発で順位が変わる

現在の賞金ランキングで最も面白いのが、その後ろだ。

郡司浩平を筆頭に、簗田一輝、新山響平、清水裕友、新田祐大、山口拳矢、寺崎浩平、荒井崇博、守澤太志、菅田壱道、石原颯までが、おおむね5000万円台に密集している。このグループに実力差があるというより、ここからは「秋の大一番で誰が決勝へ乗るか」の勝負になる。

例えば寬仁親王牌で準優勝すれば約2400万円、競輪祭なら約2800万円。一度のG1準優勝だけで5000万円台の選手が8000万円台へ突入する。そこへ共同通信社杯やG3の賞金を重ねれば、9000万円台も見えてくる。

逆にG1で準決勝まで進んでも決勝を逃し続ければ、なかなか差は縮まらない。その意味では、郡司が現在の順位を守っているから安全という状況ではまったくない。新山、清水、新田、山口、寺崎あたりまで、実質的な差は一開催で消える。

共同通信社杯は「賞金争いの準決勝」

特に重要なのが共同通信社杯だ。

G2のため優勝してもグランプリ出場権そのものは得られない。しかし優勝3200万円という賞金は、現在5000万円前後の選手を一気に8000万円台へ押し上げる。2着でも1610万円、3着でも900万円。ここで決勝へ進むだけでも、秋の賞金争いに大きな余裕が生まれる。

郡司、新山、清水、新田、山口、寺崎、荒井、守澤らにとっては、寬仁親王牌と競輪祭の前に行われる「グランプリ賞金争いの準決勝」と呼んでもいい。共同通信社杯を制し、その後のG1でも決勝へ乗れば、現在10位台の選手からでも賞金枠へ一気に飛び込める。

石原・松本・河端にもまだ賞金ルートは残る

石原颯、松本貴治、河端朋之まで下がっても、まだ完全に賞金ルートが消えたわけではない。ただし、この辺りからは単なる安定した着取りでは足りない。共同通信社杯優勝、G3優勝、G1表彰台といった大きな加算が必要になる。

特に松本は前年も競輪祭決勝まで賞金争いへ残った実績がある。5000万円弱からでも、共同通信社杯で2000万~3000万円、G1で1000万円以上を積めば一気に景色が変わる。

今年は賞金額が高いだけに、「今20位だから無理」と切り捨てるにはまだ早い。

嘉永泰斗・阿部拓真・南修二はG1奪取が最短ルート

TOP20より下にいる現S級S班では、嘉永泰斗、阿部拓真、南修二が厳しい立場に置かれている。嘉永はまだ賞金でも可能性を残しているが、現在地から9500万円前後まで持っていくには相当な上積みが必要。共同通信社杯で優勝級の結果を残したうえで、G1でも決勝へ進む必要がある。阿部、南になると賞金だけでの逆転はさらに厳しい。

しかしS班の実力者にとって、もっと単純な道がある。寬仁親王牌か競輪祭を勝てばいい。

特に競輪祭は最終決戦。賞金ランキング30位、40位からでも優勝すればグランプリへ直行する。賞金圏外の実力者ほど、秋が深まるにつれて「着を拾う戦い」ではなく「G1を取る戦い」へ切り替わっていく。

「実質2+2枠」の攻防へ

現在の構図をまとめると分かりやすい。古性優作、犬伏湧也、脇本雄太はG1優勝で確定。吉田拓矢、眞杉匠は賞金でほぼ確実。深谷知広、松浦悠士もかなり有利だ。ここまでを7人と考えれば、残る椅子は2つ。

そして、その前には寬仁親王牌と競輪祭という「2枚のG1切符」が残されている。

この2つを現在の圏外選手が勝てば、その2人で9席が埋まり、深谷・松浦までの賞金上位組が激しい防衛戦を強いられる。一方、古性、脇本、犬伏、あるいは吉田、眞杉、深谷、松浦といった現在の有力組がG1を勝てば、賞金枠が残り、郡司以下にチャンスが広がる。

今年のボーダー予測は9500万円前後。ただしG1優勝者がさらに2人増える展開なら、昨年同様に1億円を超えて初めて安心できる争いになっても驚けない。

共同通信社杯、寬仁親王牌、競輪祭――。ここからの3つのビッグレースで、一度決勝へ乗るだけでも順位は激変する。本当のグランプリ争いは、ここから始まる。

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