第69回オールスター競輪が8月11日から16日まで、松山競輪場を舞台に開催される。2026年のG1戦線を振り返れば、まず触れなければならないのが近畿勢の強さだ。全日本選抜を脇本雄太、日本選手権と高松宮記念杯を古性優作が制し、今年ここまでのG1タイトルはすべて近畿へ。しかも、オールスターもここ5年で4回近畿勢が制しており、その相性は群を抜いている。

ただし、今回の舞台は四国・松山。今年3月の記念では四国勢が決勝9人中6人を占め、地元の松本貴治が優勝した。地元地区の結束力は軽視できない。関東には眞杉匠―吉田拓矢、南関東には深谷知広―郡司浩平、中国には太田海也を軸とした強力布陣、九州にも嘉永泰斗を中心とする豊富な機動型がそろった。

北日本 豊富な機動型をどう一本の流れにつなげるか

北日本は人数、質ともに充実している。新山響平、中野慎詞に加え、中石湊、山崎歩夢と若手も主導権を握れる選手が豊富。

ポイントは、その後ろだ。阿部拓真、新田祐大、菅田壱道はいずれも自在型でありながら、若手機動型を目標にすれば番手から勝ち切れる。さらに佐藤慎太郎、成田和也、渡部幸訓という国内最高峰の追い込み陣が控える。

同一レースに北日本が3、4人入れば、若手自力―自在型―追い込みという厚みのあるラインを作れる。特に中石や山崎が思い切って風を切り、新田や阿部が中核を担う形は他地区にとって厄介だ。人数が増えれば前後の選択は難しくなるが、基本的には地区連係を生かす方向で考えたい。

関東 眞杉=吉田を軸に最も形を作りやすい地区

関東の最大の強みは、中心となる形が見えやすいことだ。眞杉匠吉田拓矢が同乗すれば、どちらが前でも攻めのパターンは豊富。眞杉は前でも後ろでも先行から番手まで仕事は強烈で、吉田も取りこぼし少なく決めてくる。

坂井洋、杉浦侑吾、佐々木悠葵、菊池岳仁、森田優弥と自力型も豊富で、眞杉以外にもラインの先頭を任せられる。鈴木竜士は自力と番手の両方に対応し、武藤龍生らが後方を固める。

例えば菊池や森田―眞杉―吉田という並びまで実現すれば、他地区には非常に厳しい構成になる。一方で関東勢が一つのレースに多数入った場合は前後関係の整理が必要になるが、単純に別線でぶつかるより、地区として勝ち上がるための並びを優先する可能性が高い。近畿と並び「ラインそのものが優勝候補」と呼べる地区だ。

南関東 深谷を先頭に郡司が構える形は今回も強力

南関東は深谷知広郡司浩平の存在が大きい。昨年のオールスターでも深谷の仕掛けを郡司が追う形で結果を残しており、両者が同乗すれば深谷―郡司が基本線となる。

岩本俊介も自力を持つため、3人がそろえばさらに厚いラインを形成できる。簗田一輝、渡邉雅也、和田真久留は自力自在で、前を任されても番手を回っても対応可能。松谷秀幸、小原太樹、嶋津拓弥と追い込み陣も豊富だ。

南関東は若手先行一人にすべてを任せる地区ではなく、前後どこからでも縦脚を出せるのが特徴。深谷が主導権、郡司が番手、その後ろに地元意識の強い神奈川勢という形を作れれば、北日本・関東・近畿に対抗する有力勢力となる。

中部 山口拳矢をどこに置くかで破壊力が変わる

中部は山口拳矢、志田龍星、谷口遼平、岩井芯と一通りの機動型は揃った。中でも若い岩井は勢いがあり、ラインの先頭を任されれば思い切った走りができる。志田も主導権型、谷口もいざとなれば先行も視野に入るため、前を務める候補は十分。そこに浅井康太が後ろで支えて一丸となって臨みたい。

近畿ほど追い込み選手が豊富ではないからこそ、自力選手同士が役割を分担できるかが重要。中部の優勝には「山口が全部やる」展開より、前を任せられる選手も生かす形が理想だ。

近畿 今年のG1を支配する最強ブロック

今回も勢力図の中心は近畿だ。脇本雄太、寺崎浩平、中釜章成、市田龍生都という機動型に、古性優作、南修二、三谷将太、稲川翔が控える。

最大のポイントは前後関係。市田や中釜が先頭を務め、その後ろを脇本、さらに古性という並びまで成立すれば、他地区には脅威以外の何物でもない。寺崎が入ればさらに選択肢が増える。ただし寺崎は高松宮記念杯決勝で落車して以来の実戦。脚力そのものはトップ級でも、まずは実戦感覚がどこまで戻っているかを確認したい。

古性は前が不発でも自ら動き、番手戦でも仕事ができることは説明不要。脇本も近年は若手機動型の後ろを回るケースがあり、「脇本=必ず先頭」という考え方では読めない。

南は高松宮記念杯準決、サマーナイトフェスティバル初日と失格が続き、GP出場へはもう失格できないという重い足かせが付いたが、経験と意地で何とか前に食らいつきたいところ。

今年のG1をすべて近畿が取っている事実は重い。今回も他地区が近畿ラインをどう崩すかが優勝争いの中心テーマになる。

中国 太田海也を先頭に置ければ一気に優勝圏

中国は太田海也、取鳥雄吾、町田太我、河端朋之という機動型をそろえ、さらに松浦悠士、清水裕友、岩津裕介、柏野智典が控える。

最も怖いのは太田を先頭にして松浦、清水らが続く形だ。太田のスピードと持続力は、早めに出切れば後続が利用できる速度域が他の選手とは違う。取鳥は長い距離、河端は一気のスピード勝負とタイプも異なり、番組によって最適な先頭を選べる。

松浦と清水は前が止まれば自ら踏めるため、ラインが簡単には崩れない。岩津、柏野まで含めれば後方の安定感も十分。中国勢は近畿、関東に次ぐ「二段、三段構え」を作れる勢力だ。

四国 地元で最も怖いのは地区の結束

開催地区の四国は今回、実績以上に高く評価したい。今年3月の松山記念では四国勢が6人も決勝へ進出し、最終的に松本貴治が優勝した。松山では地区の結束と地元意識が大きな力になることを証明したばかりだ。

自力型は犬伏湧也、石原颯に、地元愛媛の佐々木豪、松本。追い込みには小倉竜二、地元からは橋本強、渡部哲男が控える。松本自身も自力を使えるため、若手を前に置けば中核を担える。

人数が多いレースではさすがに複数ラインへ分かれるケースもあるが、それは地区内で敵対するというより、勝ち上がりの席を増やすための戦略と見るべきだろう。場合によっては犬伏―松本―橋本、石原―佐々木―渡部といった強力な並びが成立する可能性もある。

特に松本は今年3月の松山記念を連覇。バンクとの相性、地元の声援、ラインの厚みを考えれば、今回も決勝進出候補の一角に置きたい。近畿勢のG1独占を止めるのは、地元四国かもしれない。

九州 嘉永泰斗を中心に自力型の使い分けが鍵

九州も選手層では負けていない。S級S班の嘉永泰斗を中心に、山崎賢人、阿部将大、北津留翼というトップクラスの自力型がそろう。山田庸平、山田英明、伊藤旭も自力自在で、後方には荒井崇博、園田匠が控える。

九州の課題は戦力不足ではなく、誰を先頭に据えるか。山崎はスピード、阿部は積極性、北津留は一発の捲り、嘉永は総合力と、それぞれ武器が違う。若手が前で仕掛け、嘉永や山田庸平が中核、荒井や園田が固める形なら、近畿にも対抗できる。

一方で自力型が多いからといって別線へ分かれるより、G1では地区の勝ち上がりを意識した連係が基本。どのレースで誰が役割を引き受けるかが九州の成否を分けそうだ。

最有力地区は?

松山は回転型の自力選手が活躍できる高速バンク。自力選手の積極性とラインの厚みがそのまま結果に表れやすい。現に、松本は今年、一昨年とラインの番手から地元記念連覇を果たした。

そうなると、自力型が豊富な北日本・関東がやや優勢と見える。北日本は新山・中野を軸に中石・山崎歩も先行できるし、関東は眞杉・吉田拓がいるだけで他地区の5~6名分の勢力になる。反対に、近畿は脇本・寺崎の2トップに不安材料があること、若手自力型が手薄なことを考えると、他地区が付け入る隙は十分にありそう。

それに次ぐのが中四国。中国勢は太田・町田・取鳥を松浦・清水がどう盛り立てるか。自力型は今年いずれも元気だけに、むしろ松浦・清水の出来が浮沈のカギを握る。

地元四国勢は一にも二にも犬伏の考え次第。石原とタッグを組んで勝ちに徹するか、松本ら地元勢を連れてラインを活かすか。

南関東は郡司・深谷・岩本に次いで前でやれる選手が手薄なのが難しいところ。いずれも自身が先行で決勝に勝ち上がるのは難しくなってきており、発進役が欲しい。

九州はここまでG1・G2決勝に1人しか送り込めていないのが悩みの種。山崎ー嘉永ー荒井のラインが実現すれば、他地区にも劣らない強力なタッグだが…。

中部は引き続き勢力再建中と見るのが妥当。やや格落ち感は否めないがレースを作れる若手は揃っているので、山口拳がラインを活かす意識を構築できるかがポイントとなる。