昔はよく見られたイン切り
競輪用語で、後方の選手が外から上昇し、隊列の先頭を走る選手の前に出てインコースに切れ込むことを「インを切る」と言う。
一般的にインを切るのはラインの先頭を走る自力選手だが、これを番手以降にいる、追込タイプの選手が行う戦法を特に「イン切り」と言う。
今回は、具体的なレース例を交えて、古の戦法「イン切り」を解説する。
イン切りの例
今回例に挙げるのは、10月15日の西武園5R。
番 | 選手名 | 登録地 |
1 | 藤野竜也 | 栃木 |
2 | 室井蓮太朗 | 徳島 |
3 | 西村尚文 | 鹿児島 |
4 | 坂本智哉 | 岡山 |
5 | 原野隆 | 東京 |
6 | 柴田了 | 福岡 |
7 | 新村真 | 岡山 |
並びは2室井―4坂本―7新村の中四国勢に、6柴田が追走しての西日本ラインと、1藤野―5原野の関東ライン。3西村は単騎を選択した。
初手の並びは1532476。人気に推された中四国勢は後ろとなり、1藤野は前受けで何でもやる構え。1藤野が突っ張り、2室井が捲りに回されると、4坂本以下のマーク選手は離れる危険性がある他、2室井の抑え方次第では1藤野が番手ないし3番手に飛び付く可能性も考えられる。
ここで中四国3番手の7新村は一策を講じ、自分で踏み込んで1藤野をかわした。
これが「イン切り」である。
1藤野は3番手に引くことを余儀なくされ、
2室井がそれに合わせて上昇。
1藤野は慌てて巻き返したが、3番手の外で一杯となり、結局中四国勢での上位独占が決まった。
先述したように、中四国勢の呼吸が合わなければ、関東勢にペースを乱され、ラインが瓦解したかもしれない。その可能性を排除して上位独占につなげた新村の好判断だったといえる。
イン切りの目的と歴史
「イン切り」の目的は、以下の二つ。
・前を走るラインの動きを封じること
・その上で、自分が属するラインをすんなり先行させること
ラインの番手以降(主に3番手、4番手)の選手が、一時的に自力選手のような動きをすることで、前のラインの動きをけん制して自分のラインに有利になるよう動くのが「イン切り」の役目と言える。
主にこの「イン切り」は1980年代~1990年代に頻繁に行われていた。「ミスター競輪」中野浩一氏全盛期の時代に、関東の選手が結束して対抗した「フラワーライン」でよく用いられ、その中でも吉井秀仁氏(千葉)は「イン切りの達人」と言われていた。
しかし、時代の変化と共に、以下の理由で「イン切り」が行われる頻度は激減していった。
自力選手の増加
「イン切り」は目標のない追い込み選手が行うケースも多かったが、自力選手の増加に伴い大体の追い込み選手に目標が用意され、「イン切り」や「イン待ち」を行う選手が減少した。
ヨコの動きによる失格基準の厳格化
「イン切り」の狙いは後から巻き返してくる自力選手の番手に飛び付くことでもあったが、失格基準の厳格化によりそもそも競りを狙うケースが減少した。
誘導のペースが速くなったこと
誘導員のペースが速くなったことで、道中で余計な脚力を使うことができなくなり、追い込み選手が自ら動くことが少なくなった。
現在では年に数える程しか見られなくなった「イン切り」だが、7車立て全盛となった今、3対4ないし3対3対1の2分戦が多くなり、目標がない追い込み選手が展開に一石を投じるために動くケースもわずかながら出てきている。競輪中級者以上の方は、ぜひそのような戦法もあるということを覚えておいていただきたい。
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