第36回共同通信社杯決勝戦結果
第36回共同通信社杯は今日決勝が行われ、熊本97期の中本匠栄が優勝した。優勝賞金は2,170万円(副賞込み)。2着には松浦悠士(広島)、3着には園田匠(福岡)が入った。決勝戦の全成績および払戻金は以下の通り。
着順 | 枠番 | 車番 | 選手名 | 登録地 | 着差 |
1 | 5 | 6 | 中本匠栄 | 熊本 | |
2 | 5 | 7 | 松浦悠士 | 広島 | 1/2車身 |
3 | 6 | 8 | 園田匠 | 福岡 | タイヤ差 |
4 | 1 | 1 | 新田祐大 | 福島 | 1/2車身 |
5 | 4 | 4 | 岩本俊介 | 千葉 | 2車身 |
6 | 3 | 3 | 山崎賢人 | 長崎 | 2車身 |
7 | 2 | 2 | 脇本雄太 | 福井 | 2車身 |
落車 | 6 | 9 | 吉澤純平 | 茨城 | |
失格 | 4 | 5 | 山田英明 | 佐賀 | 1着入線 |
2枠複 | 5-5 | 8,950円 |
2枠単 | 5-5 | 10,700円 |
2車複 | 6-7 | 8,950円 |
2車単 | 6-7 | 32,560円 |
3連複 | 6-7-8 | 19,400円 |
3連単 | 6-7-8 | 196,380円 |
ワイド | 6-7 | 1,870円 |
6-8 | 2,150円 | |
7-8 | 2,030円 |
決勝戦回顧
初手は③山崎賢人―⑤山田英明―⑥中本匠栄―⑧園田匠―⑦松浦悠士―①新田祐大―⑨吉澤純平―④岩本俊介―②脇本雄太。赤板から②脇本が動き、後ろには⑦松浦が付く形。しかし、先行ラインの番手⑤山田が厳しくけん制し、最終ホームでは⑥中本にブロックされて②脇本は後退。最終1センターからは自力で捲った⑦松浦、①新田に⑤山田が番手捲りで抵抗。さらに最終3コーナー、⑤山田が①新田を自らブロックした際に、⑨吉澤が落車。直線は⑤山田が押し切ったが、最終3コーナーで⑨吉澤を落車させたとして失格。2着到達の⑥中本が繰り上がりで1着。2着は⑦松浦、3着は⑧園田が流れ込んだ。
ライン構成から前代未聞の一戦となった決勝戦。その結末も、誰もが予想だにしないものとなった。そして、「33バンクは先手有利」という、競輪の基本を改めて痛感させられる結果ともなった。
スタートは山田英明、中本匠栄が飛び出して九州勢の前受け。この時点で、山崎賢人の先行は確定した。赤板まで態勢は一切変化なし。その赤板ホームで飛び出したのは、ライバルの抵抗に遭い、最後方からのレースを強いられた脇本雄太だった。さしもの脇本と言えども、このメンバーで9番手に置かれては勝ち目がない。脇本自身もそれはもちろん分かっていただろう、早いタイミングでの仕掛けを余儀無くされた。
だが、赤板を過ぎての仕掛けだけに、山崎もすでに戦闘態勢。ペースは上がり切っていく。きれいに仕掛けを合わされた脇本は、打鐘で山田、最終ホームで中本のブロックを受け万事休す。大本命が、残り1周で早々に勝負権を失った。
グングン飛ばす九州勢に次に襲い掛かったのは、自力に切り替えた松浦悠士とそれを追った新田祐大。しかし、山田も次の策を用意していた。番手捲りだ。最終バック手前から捲りを打ち、松浦・新田をも退けに行く。更には、最終3コーナーで自ら強烈な牽制を新田に与えた。
しかし、タイトル奪取が見えた山田に悪魔がほほ笑んだ。すぐ後ろにいた吉澤純平が落車。ここで、山田のビッグレース初制覇の夢は露と消えた。
直線は山田が押し切り、2着入線は中本。その後ろは松浦と園田匠が際どく入線したが、審議の結果山田は失格。九州3番手でいい仕事を見せていた中本が繰り上がって、ビッグレース初決勝初優勝を決めた。
この決勝戦、間違いなく優勝にふさわしいレースをしたのは山田だった。打鐘での脇本へのブロック、番手捲りのタイミング、どれを取っても完璧。あとは押し切れば、悲願のビッグレース初優勝が見えていた。しかし、最終3コーナー、新田への牽制が少しだけ度を過ぎた。ちょうど先月の小田原記念で郡司浩平が失格に泣いたように、3コーナーは遠心力に振られて、少しでも牽制をやり過ぎると一気に外へ飛んでしまう。当時と同様に、タイトル奪取へ向けた強すぎる気持ちが山田の技術を狂わせたのか。いずれにしても、悔やんでも悔やみきれない結果となった。
繰り上がりで優勝した中本は、今シリーズのラッキーボーイ的存在。しかし、準決勝は自ら番手に切り込んで粘り込むなど、動き自体は冴えていた。現に、最終ホームで脇本に引導を渡したのも中本のブロック。優勝できるだけの調子の良さはあった。実は、伊東温泉競輪場はちょうど3年前の落車で頚椎骨折の重傷を負った因縁の地。そんな場所で、しかも繰り上がりでビッグレース初優勝を遂げるとは、何たる運命だろうか。競輪は小説より奇なり、である。
一方、2着となった松浦だが、その内容は相当濃かった。終始外々を踏まされる格好になり、一旦捲り上げながら最終バックでは新田にその上をさらに捲られる展開。普通の選手なら最終バックで終わりになりそうな最悪の展開だったが、最終2センターで九州勢の後ろに素早く切り替え、そこから伸び返しての連確保。やはり、初日2日目と先行勝負で粘り込んでいるだけに調子は相当よかったのだろう。展開さえもう少しマシならば、優勝は松浦だったかもしれない。
人気を背負った脇本は、初手で最後方に置かれた時点で苦しいレースになることが予想されたが、案の定長い距離を踏まされた挙句九州勢の猛烈な抵抗に遭い失速。オールスター決勝に続き、ヨコの動きに泣かされる結果となった。また、同じく人気の一角だった新田は最終3コーナーで前を捕らえる勢いだったが、山田の強烈な牽制に遭い失速。これも同様に、ヨコの動きに泣いた。
失格はあったものの、実力上は劣勢だった九州勢がラインの結束力と33バンクを味方に付けて1・3着と上位を占めた一戦。「やはり競輪はラインとヨコか」と月並みな感想が口を突いて出る所だったが、今回はそれ以上に、33バンクは先手有利であることを改めて付きつけられた結果となった(繰り返しになったが)。
なお、決勝戦に限らず、今開催は落車・失格が非常に多い印象だった。位置取りが激しくなりやすい33バンクではある程度仕方のないことだが、次回のG1は究極のスピードバンク・前橋競輪場で行われる寛仁親王牌。参加選手には、最大限落車・失格を避けることを意識してほしい。
まとめ
誰もが予想だにしない結末で幕を閉じた第36回共同通信社杯。これが、競輪の怖さでもあり、面白さでもある。また、全ての可能性があり得るのがビッグレースである、とも言えるだろう。
次回のグレードレースは9月26日(土)から行われる青森競輪開設70周年記念G3 みちのく記念・善知鳥杯争奪戦。7車立て9レース制で行われる最後のG3となる。どうぞお楽しみに。
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