KEIRINグランプリ2020結果
KEIRINグランプリ2020は30日、平塚競輪場で行われ、千葉87期の和田健太郎が優勝した。和田はグランプリはもちろん、特別競輪も初優勝となり、「特別競輪初優勝がグランプリ」という快挙を成し遂げた。2着には脇本雄太、3着には佐藤慎太郎が入った。払戻金は2車単が④②で20,020円、3連単が④②⑨で221,650円。
グランプリ展開
初手は③松浦―⑤清水―①郡司―④和田―⑧新田―⑨佐藤―⑥守澤―②脇本―⑦平原。打鐘手前で②脇本が一気のカマシ先行を取ると、③松浦は番手に飛びつく動きを見せるも3番手に収まる。中団5番手から捲った①郡司、3番手から捲った③松浦は共に不発。最終3コーナーで切り替えて捲った⑤清水を⑦平原が牽制すると内が空き、そのコースを突いた④和田が直線粘る②脇本をかわして1着。3着には⑨佐藤が続いた。
グランプリ回顧
誰が勝ってもおかしくなかった一戦…競輪の神様は最後の最後で和田に味方した
激動の2020年を象徴するように、最終バックからは激しいせめぎ合いとなったKEIRINグランプリ2020。競輪の神様は気まぐれなもので、わずか200mの間に勝利を何人もの選手に手渡しかけた。しかし、最後の最後に祝福の相手として選んだのは、デビュー19年・G1初勝利までに14年を要した苦労人・和田健太郎だった。
レースは例によって非常にシンプルな流れ。スタートを控えた脇本雄太が打鐘手前から一気にカマして主導権を奪う流れとなった。別線は赤板ホーム手前から脇本の動向を執拗に警戒し、場合によっては好位飛び付きも考えていただろう。実際、前を取っていた松浦悠士は打鐘過ぎ4コーナーで番手に飛びついた。しかし、脇本のスピードはやはり圧倒的。番手の平原康多もすんなりと回り、残り1周を迎えた。
ここからは脇本のワンマンショー。5番手の郡司、3番手の松浦が捲ろうとしたものの車は一切伸びず。冬の冷たい空気も構わず、いつも通り別線を黙らせる快先行で1億円へ邁進した。この時点で、優勝は脇本か、番手の平原かという形だった。
しかし、不発の松浦から切り替えた清水の捲りの勢いが良い。前にスピードを貰っており、脇本を一気に呑み込む勢いで迫る。筆者はこの時点で「清水の優勝か」と直感した。思えば、この捲りが和田優勝をアシストする格好になったのだが。
番手を回った平原が、千載一遇のチャンスを活かすべく清水をブロック。だが、真後ろにいた選手をブロックする難しさ、脇本のスピード、そしてバンクの遠心力が2人を外へ大きく膨らませる。郡司、松浦、清水、平原と前を走っていた選手がまとめていなくなった和田のビクトリーロードがぽっかりと空いた瞬間だった。
直線は脇本も粘ったが、内で脚を溜めていた和田の強襲の前には成す術無し。デビュー19年間でG1制覇はおろかG2優勝も無かった和田が競輪界の頂点に立った。
冒頭にも記したように、まさに誰が勝ってもおかしくなかった今年のグランプリ。最終ホームで番手競りを凌いだ時点では平原が優勝の最短距離にいたし、清水の捲りも強烈で勝利は目の前だった。そして、この二人が大きくもつれたことで、脇本の逃げ切りもあり得た。それでも、最後に笑ったのは展開が二重、三重に向いた和田という結果となった。優勝にはこれしかない、というまさに理想的な形。競輪の神様を最後の最後で味方に付けた勝利だった。
今年も番狂わせ…2年連続の大波乱
オッズが示す通り、和田は優勝から最も遠い選手の一人として見られていた。実際、競輪祭決勝では郡司に離れていた上、前回の千葉記念(松戸開催)でも4日間勝ち星を挙げることが出来なかった。このメンバーではスピード面で苦しいと見られていたが、見事な勝ち切り。これで来年は、1年間真っ白なグランプリユニフォームに身を包むことが決定し、これまで以上に責任と重圧がかかる立場となった。それでも、和田がこれまで重ねてきた苦労に比べれば、乗り越えられないものではないだろう。しかも、来年は南関東に深谷知広と言う心強い仲間が加わり、郡司と共に「競輪王国」を築くこととなろう。競輪界を背負う立場となった和田の2021年に期待したい。
脇本は今年も問答無用の先行勝負。昨年同様、別線はまとめて不発にする展開で、圧巻のレースを披露した。それでも、最後の最後の最後に日本一の称号が眼前から逃げていった。一番強いレースをしたはずの選手が優勝できないのも、競輪の怖さであり難しさ。かつて神山雄一郎が3年連続でグランプリ2着に泣いたことを思い出させるレースとなったが、この悔しさを来年の大舞台にぶつけてもらいたい。
首尾よく中団をキープし、波状攻撃で脇本に迫った中国勢だったが、あと一歩前を捕まえるには至らず。それでも、清水の快速捲りは場内を大いに沸かせた。来年は脇本・新田が今度こそ五輪の舞台に立つことを考えると、2021年の競輪界は南関勢と中国勢が回していくことになりそうだ。
一方で見せ場なく終わったのが新田。勝負所で7番手に置かれ、仕掛けも一切できない悪癖をよりによってこの大舞台で露呈した。辛うじてマークの佐藤が切り替え追い込んで確定板に滑り込んだものの、内容でも結果でも脇本に惨敗。”東京五輪代表対決”を期待したファンにとっては、何とも味気ないパフォーマンスとなった。
2020年のまとめ
和田健太郎の優勝で大波乱に終わったKEIRINグランプリ2020。これで、2020年の競輪は一応の区切りを迎えたこととなる。
今年は新型コロナウイルスの影響により、3月~6月はほとんどの開催が中止、もしくは無観客開催となる苦境に見舞われた他、競輪場への入場が再開された後も、今回のグランプリを始めG1・G2の特別競輪は入場人員等の大幅な制限が加えられた。現在も、感染拡大防止のため各競輪場の入場には厳しい対策が行われており、競輪場がかつての活気を取り戻しているとは言い難い。
まずは競輪に携わる者として、このような状況下で1年間競輪開催を続けられたことに感謝をしなければならないだろう。関係者、選手はもちろん、競輪開催続行、再開に尽力した全ての方々に最大限の敬意を表し、心から御礼を申し上げる。
そして、来年以降は一刻も早く競輪場に活気が戻ることを、満員のファンの前で選手がレースを披露できるようになることを願って止まない。インターネットを始め、今や世界中のどこからでも競輪が見られる時代となり、昨今の状況がその流れを加速させているが、やはり競輪の魅力、面白さ、楽しさ、興奮は競輪場に行かなければ100%味わうことは出来ない。紙の車券を買い、選手に声援を送ってこその競輪である。
今なお予断の許さない状況が続いているが、一競輪を盛り上げる者として、来年も皆様に競輪に魅力、面白さをお届けできるよう、日々精進していくつもりである。
そして、今年7月の「輪pedia」開設以降、多くの読者の方々にご愛読いただいたことについても、深く御礼申し上げる。今後も拙筆ながら、読者の方々に役に立つ情報を提供し続けるため、来年以降も変わらぬご愛顧のほどをお願い申し上げたい。
2021年のグレードレースは1月4日(月)から立川競輪場で行われるG3「鳳凰賞典レース」で幕を開ける。来年は日常が皆様の下に戻ってくることを願って…。それでは、良いお年を。
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