「グランプリポイント」とは?
毎年12月30日、その年の競輪の総決算として開催されるKEIRINグランプリ。昨年は大阪の古性優作が単騎大捲りを決めて優勝したが、そのグランプリの出場選手は概ね以下の2つによって決定される。
・同年のG1(全日本選抜、日本選手権、高松宮記念杯、オールスター、寛仁親王牌、競輪祭)優勝選手
・G1優勝選手を除いた獲得賞金上位選手
ここまでは競輪ファンにとっては常識だが、実は過去に、これ以外の方法でグランプリ出場選手が決められたことがあるのはご存じだろうか。第1回などは、競走得点上位者によるレースが行われたが、とりわけ異彩を放つのは2002年に行われたKEIRINグランプリ02。
この年のみ、「グランプリポイント」と呼ばれる制度を持って、出場選手が決定された。今回は、そんな幻の制度「グランプリポイント」について紹介する。
G1決勝での好走が絶対条件
「グランプリポイント」とは、G1決勝に進んだ選手に、着位に応じてポイントを付与し、その合計が高い順にグランプリ出場権が与えられる、というもの。当然、G1決勝の優勝者は無条件で出場が決まるため、2着以下の選手にポイントが与えられることになる。
それぞれのG1レースと、着位ごとに与えられるポイントの一覧は以下の通り。
日本選手権 オールスター | 全日本選抜 | 競輪祭 高松宮記念杯 寛仁親王牌 | |
2着 | 10.5 | 12 | 10 |
3着 | 8.5 | 10 | 8 |
4着 | 6 | 6 | 6 |
5着 | 5 | 5 | 5 |
6着 | 4 | 4 | 4 |
7着 | 3 | 3 | 3 |
8着 | 2 | 2 | 2 |
9着 | 1 | 1 | 1 |
棄権 | 0.5 | 0.5 | 0.5 |
失格 | 0 | 0 | 0 |
当時は11月開催で、グランプリ出場のラストチャンスだった全日本選抜の2,3着が最も高く設定されており、次いで格式が高い日本選手権、オールスターも高めに設定されていた。
この制度から分かる通り、この年のグランプリ出場には、G1決勝での好走(最低表彰台)が絶対条件。それまでにいくらG2・G3を優勝していようが、G1で表彰台に上がらない限り、まずグランプリへの扉は開かれないという状況だった。
KEIRINグランプリ2002出場選手
この年のKEIRINグランプリ出場選手は以下の通り。
番 | 選手 | 出場要件 |
1 | 村上義弘 | 全日本選抜優勝 |
2 | 小橋正義 | GPP 10ポイント |
3 | 小野俊之 | GPP 16ポイント |
4 | 池尻浩一 | GPP 10.5ポイント |
5 | 松本整 | 寛仁親王牌、オールスター優勝 |
6 | 戸邉英雄 | GPP 10ポイント |
7 | 山口富生 | 高松宮記念杯優勝 |
8 | 渡邉晴智 | GPP 13ポイント |
9 | 山田裕仁 | 競輪祭、日本選手権優勝 |
レースは、7番手から捲った山田裕仁が直線で逃げる村上義弘を捕らえて優勝。年間獲得賞金額を2億4434万8500円とし、当時の最高額を更新した。
グランプリポイントの弊害
しかし、この「グランプリポイント」制度は1年限りで姿を消した。恐らくは選手やファンの不評を買ったからだろうが、この制度の弊害を筆者なりに考察する。
グランプリ出場選手が6レースで決まる
上でも触れたとおり、この制度下ではG1決勝で3着以内に入ることがほぼグランプリ出場への絶対条件。それ以外の開催でどれだけ賞金を稼いでも全く意味がない。しかも、G1においても準決勝で失敗すればその時点で終了。事実上、グランプリ出場選手が「G1決勝の6レースで決まる」という、凄まじい制度だ。
現に、この年10月に開催された共同通信社杯を制し、他にも記念4Vを果たした神山雄一郎は、オールスター・全日本選抜決勝でそれぞれ6着(グランプリポイント8)に終わり、グランプリ連続出場が11年で途絶えた。その他、東王座戦を制した岡部芳幸(グランプリポイント7)、ふるさとダービー防府を制し、寛仁親王牌・オールスターで決勝に進んだ齋藤登志信(グランプリポイント6)らも、出場を逃している。
一方で、オールスター決勝2着だった池尻浩一、全日本選抜決勝3着の戸邉英雄は、この年のG1決勝進出がそれ一回だった他、G1・G2はおろかG3の優勝すらなかった。当時の資料がないために断定はできないが、獲得賞金的には神山とほとんど変わらないのではないか。どれだけG1以外で実績を残しても、G1決勝一発でひっくり返されてしまう制度だったと言える。
もちろん、この年グランプリ出場を果たした選手には何の落ち度もない。自らの実力で勝ち取った栄誉だ。しかし、制度的には1年で終了したという背景もあり、決して成功したと言える代物ではない。恐らくは、ファンおよび選手から、凄まじい不評を買っただろう、と推察せざるを得ない。
なお、翌2003年以降は、元の獲得賞金順で出場選手を決定する制度に戻っている。
参考:2002年グランプリポイント上位者
選手名 | ポイント | 主なG1決勝実績 |
小野俊之 | 16 | 全日本選抜2着、寛仁親王牌6着 |
渡邉晴智 | 13 | 競輪祭2着、全日本選抜7着 |
池尻浩一 | 10.5 | オールスター2着 |
※内林久徳 | 10.5 | 日本選手権2着 |
小橋正義 | 10 | 寛仁親王牌2着 |
戸邉英雄 | 10 | 全日本選抜3着 |
古原勝己 | 8.5 | 日本選手権3着 |
神山雄一郎 | 8 | オールスター、全日本選抜6着 |
山口幸二 | 8 | 競輪祭3着 |
細川洋 | 8 | 寛仁親王牌3着 |
岡部芳幸 | 7 | オールスター4着、高松宮記念杯9着 |
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